暑いと疲れるのは、体温を調節する負担に加え、水分不足や寝苦しさが重なり、体が十分に回復できなくなることがあるためです。
「暑いだけなのに、なぜこんなに疲れるの?」「しっかり寝たはずなのに朝からだるい」と感じるなら、暑さ・水分・睡眠の3つを見直してみましょう。
夏の疲労感は、特別なことを始めるより、毎日の生活で体にかかっている負担を一つずつ減らすことが改善への第一歩になります。
この記事では、暑いと疲れる理由を体の仕組みから分かりやすく解説し、夏バテを防ぐために取り入れたい7つの対策をご紹介します。
暑いと疲れるのはなぜ?夏に疲労感が抜けない5つの原因

暑いと疲れるのは、体が熱を逃がそうと働くことに加え、発汗による水分不足や睡眠の乱れなどが重なりやすいからです。
夏の疲労感は、単純に「暑いから疲れる」というだけではありません。
私たちの体は、暑い場所でも体温を一定の範囲に保とうとしています。
その働きに加えて、水分不足や寝苦しさ、食生活の乱れなどが続くと、普段より疲れを感じやすくなることがあります。
原因1|暑いと体温調節のために体が働き続ける
人間の体には、暑いときに体の熱を外へ逃がす仕組みがあります。
代表的なのが、汗をかくことと、皮膚の血管を広げて熱を逃がすことです。
汗が蒸発するときには、皮膚から熱が奪われます。
また、皮膚の血流が増えることで、体の内部にある熱を外へ逃がしやすくなります。
つまり、じっと座っているだけでも、暑い環境では体温を調節するための働きが続いているのです。
ただし、汗をかくこと自体が大量のエネルギーを消費するために疲れる、という単純な仕組みではありません。
暑さによる体への負担、水分不足、循環への影響などが組み合わさって、だるさや疲労感につながると考えるほうが適切です。
特に高温多湿の環境では、汗が蒸発しにくく、体に熱がこもりやすくなります。
暑い日に何もしていないのに疲れたように感じるのは、こうした体温調節への負担が関係している可能性があります。
原因2|汗による水分・塩分不足
暑い日に汗をかくと、体から水分とともに塩分も失われます。
水分が不足すると血液の循環にも影響し、だるさや頭痛、めまいなどが現れることがあります。
「今日はあまり動いていないのに、夕方になるとぐったりする」
そんなときは、日中にどのくらい水分をとっていたか振り返ってみてください。
仕事や家事に集中していると、のどの渇きを感じていても飲み物を後回しにしてしまうことがあります。
また、のどの渇きだけでは水分不足に気づきにくい場合もあります。
暑い日は、のどが渇く前から少しずつ水分を補給することが大切です。
大量に汗をかく場合には塩分の補給も必要になることがありますが、普段の生活でむやみに塩分を増やす必要はありません。
活動量や発汗量、持病などに応じて考えましょう。
原因3|湿度が高いと汗が蒸発しにくい
夏の疲れを考えるうえで、気温と同じくらい気にしておきたいのが湿度です。
汗は、皮膚の表面から蒸発するときに熱を奪います。
ところが湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、体温を下げる働きが十分に発揮されないことがあります。
そのため、同じ30℃でも、湿度や日差し、風などの条件によって体への負担は変わります。
ここで知っておきたいのが、暑さ指数(WBGT)です。
WBGTは、気温だけでなく、湿度や日射・輻射などの熱環境を考慮した指標です。
天気予報で気温だけを確認している方は、暑さ指数も一緒に見る習慣をつけると、暑い日の過ごし方を判断しやすくなります。
原因4|寝苦しさによって疲れが回復しにくい
夏は昼間だけでなく、夜の暑さも疲労感に関係します。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、夏に寝室の室温が高くなると、睡眠時間が短くなり、睡眠効率が低下することが報告されています。
睡眠効率とは、寝床にいる時間のうち、実際に眠っている時間の割合です。
たとえば7時間ベッドに入っていても、暑さで何度も目が覚めていれば、十分に休めたと感じられないことがあります。
ここが、夏の疲労感を考えるうえで大切なポイントです。
昼間に暑さで消耗し、夜も寝苦しくて十分に休めない。
こうなると、「疲れる時間」と「回復しにくい時間」が一日の中で重なってしまいます。
朝から体が重い方は、前日の活動だけでなく、夜の睡眠環境も確認してみましょう。
原因5|食欲の低下や生活リズムの乱れ
暑い日は食欲が落ちたり、食事を簡単に済ませたりすることがあります。
そうめんだけ、パンだけ、おにぎりだけという食事が続けば、必要な栄養素を十分にとりにくくなる場合があります。
また、暑さで外出や運動を控える日が増えると、活動量や生活リズムが変化することもあります。
もちろん、食事が一度簡単になっただけで夏バテになるわけではありません。
大切なのは、暑い日が続くなかで、食事・睡眠・活動量のバランスが普段と大きく変わっていないかを確認することです。
私は夏の疲労対策では、「元気になるものを足す」ことばかり考えなくてもよいと思っています。
暑すぎる、水分が足りない、眠りにくい。
まずは、回復を邪魔している条件を減らしていくという考え方から始めてみましょう。
夏バテを防ぐ7つの対策|暑さと水分不足から見直そう
夏の疲労感を整えるために、取り入れたい対策は次の7つです。
- 対策1:暑さを我慢せず、涼しい環境で過ごす
- 対策2:のどが渇く前から、こまめに水分をとる
- 対策3:寝室の暑さを調整し、睡眠環境を整える
- 対策4:冷房で寒く感じるときは衣服などで調整する
- 対策5:食事は完璧を目指さず、一品足す
- 対策6:暑さ指数と体調を見ながら無理なく体を動かす
- 対策7:休んでも続く強い疲労感は夏バテで片づけない
大切なのは、7つ全部を今日から完璧に始めることではありません。
まずは「自分の回復をいちばん邪魔していそうなものは何だろう」と考えて、一つだけ変えてみるのがおすすめです。
対策1|暑さを我慢せず、涼しい場所へ移動する

夏の疲労感が気になるとき、最初に確認したいのが暑さと水分不足です。
暑いと感じるときは、エアコンの効いた室内や風通しのよい日陰など、涼しい環境へ移動しましょう。
「冷房を使うと体が弱くなりそう」
「これくらいなら我慢できる」
そんな理由で、暑い室内に無理して居続ける必要はありません。
特に夏は、「我慢できる暑さ」と「体にとって負担の少ない環境」が同じとは限りません。
室内でも、日差しが入り続ける場所や風通しの悪い部屋では、熱がこもることがあります。
また、高齢者や小さな子ども、持病のある方などは、暑さによる影響に注意が必要です。
エアコンや扇風機、遮光カーテンなどを活用し、暑さを避けられる環境を整えておきましょう。
なお、熱中症では、めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉痛などがみられることがあります。
状態が進むと、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力や判断力の低下などが現れることもあります。
「なんとなくだるいから夏バテかな」と疲労感だけを見るのではなく、その前に暑い場所で長時間過ごしていなかったかも振り返ることが大切です。
対策2|こまめな水分補給を生活の習慣にする
水分補給は、暑さによる体への負担を減らすための基本的な対策です。
ただ、「のどが渇いたら飲もう」と思っていても、仕事や家事に集中していると忘れてしまうことがありますよね。
そんな方は、水分補給を「思い出したらすること」ではなく、普段の行動とセットにしてみてください。
たとえば、次のようなタイミングです。
- 起床したとき
- 食事をするとき
- 仕事の休憩に入ったとき
- 外出から帰ったとき
- 入浴の前後
このように、生活の区切りと水分補給をセットにすると、習慣にしやすくなります。
これは決められた水分補給方法ではなく、日常生活で飲み忘れを防ぐための一つの工夫です。
普段の水分補給には水や麦茶などを利用できますが、大量に汗をかいた場合には、水分だけでなく塩分の補給も必要になることがあります。
一方で、水分や塩分は多くとればとるほどよいわけではありません。
腎臓や心臓などの病気で水分摂取について医師から指示を受けている場合は、自己判断で量を増やさず、その指示に従ってください。
夏の水分補給で大切なのは、一度に頑張って大量に飲むことよりも、自分が飲み忘れやすい場面を見つけておくことです。
「午後になるといつもだるい」という方なら、午前中から水分をとれていたか確認するだけでも、生活を振り返るヒントになります。
夏に寝ても疲れが取れないときは?睡眠環境と冷房を見直す

「寝ているのに疲労感が抜けない」という方は、睡眠時間だけでなく、寝室が暑すぎないかも確認してみてください。
夏の寝苦しさは、眠りの質や翌朝のすっきり感に影響することがあります。
対策3|寝室の暑さを調整して眠りやすくする
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、夏の寝室の室温上昇によって睡眠時間が短くなり、睡眠効率も低下することが報告されています。
夏は「何時間寝たか」だけを見ていると、睡眠環境の問題を見落としてしまうことがあります。
たとえば7時間ベッドに入っていても、暑くて何度も目が覚めているなら、本人としては「ちゃんと寝たつもり」でも、すっきりしない朝を迎えることがあります。
ですから、暑さを我慢せず、眠りやすい環境をつくることが大切です。
ここで注意したいのが、「何℃なら誰でもよく眠れる」と一律に決めつけないことです。
部屋の広さ、湿度、寝具、エアコンの風向き、本人の体感によって快適さは変わります。
設定温度の数字だけにこだわるより、次のような状態を避けることを優先しましょう。
- 暑くてなかなか寝つけない
- 夜中に何度も暑さで目が覚める
- 汗をかき続けて寝具が不快になる
- 朝起きたときに寝室が蒸し暑い
夜間の暑さが強い場合には、就寝中もエアコンを適切に使用することが選択肢になります。
また、寝具や寝間着が暑すぎないかも確認してみましょう。
特に朝から疲労感が強い方ほど、日中の対策だけではなく、夜にきちんと回復できる環境になっているかを見直す価値があります。
対策4|冷房で寒く感じるときは衣服や風向きで調整する
一方で、冷房の効いた電車や職場では「むしろ寒くてつらい」と感じる方もいます。
室内外の温度差そのものが疲労感の直接的な原因になる、と一律に断定することはできません。
ただし、自分が冷房を不快に感じているのであれば、体感に合わせた調整をしてみましょう。
たとえば、次のような方法があります。
- 薄手の羽織り物を用意する
- 冷風が直接当たり続ける場所を避ける
- 汗でぬれた服のまま長時間冷えないようにする
熱中症を避けるための冷房は使いつつ、自分だけが寒いなら衣服などで調整する。
「冷房を使う・使わない」の二択にするのではなく、暑さを避けながら自分が過ごしやすい状態を探していくのが現実的です。
特に夜の冷房についても、「つけっぱなしはよくない」と最初から決めるより、まずは暑さによって睡眠を妨げられていないかを考えてみてください。
冷房の設定温度だけではなく、実際の室温や湿度を確認することも役立ちます。
暑さを防ぐことと、冷えによる不快感を減らすことは、両立を目指せる対策です。
夏の食事と運動はどうする?疲れを増やさない生活習慣
暑い日に疲れを感じているときは、食事や運動を頑張りすぎないことも大切です。
栄養を十分にとることと、無理なく体を動かすことを、その日の体調に合わせて考えましょう。
対策5|夏の食事は「完璧」より一品足す

暑くなると食欲が落ち、「そうめんだけ」「パンだけ」で済ませたくなる日もありますよね。
そんなときは、完璧な食事を作ることではなく、今ある食事に一品足すことを意識してみましょう。
たとえば、そうめんなら卵や豆腐を添える。
パンだけなら卵や乳製品、野菜などを組み合わせる。
おにぎりだけなら、魚・肉・卵・大豆製品などのおかずを一品加える。
食欲が落ちているときでも、少しの工夫で食事の内容を充実させることができます。
いつもの食事 一品足すなら
そうめん 卵・豆腐・鶏肉
食パン ゆで卵・チーズ・野菜
おにぎり 焼き魚・卵焼き・納豆
うどん 卵・肉・わかめ
サラダだけ 豆類・卵・鶏肉
これは「この食品を食べれば夏の疲れが取れる」という話ではありません。
夏になると「疲労回復には何を食べればいいのだろう」と特別な食品を探したくなることがありますが、その前に普段の食事が極端に単調になっていないかを確認してみましょう。
私が大切だと思うのは、疲れている日に100点の献立を要求しないことです。
料理そのものが負担になる日もあります。
そんな日に「栄養バランスを完璧に」と頑張りすぎれば、セルフケアが新しい宿題になってしまいます。
「今日は一品だけ足せた」。
それくらいのほうが、夏を通して続けやすいのではないでしょうか。
食欲がない日には、「完璧に食べなければ」と考えるより、今なら何を追加できそうかを考えてみてください。
夏のセルフケアは、立派な献立を毎日続ける競争ではありません。
できないことを責めるより、できることを一つ増やす。
そのくらいの気持ちで、無理なく続けていきましょう。
ただし、食事や水分を十分にとれない状態が続く場合には、体調への影響も考え、医療機関への相談を検討してください。
対策6|夏の運動は暑さ指数(WBGT)と体調を見て決める
夏の運動は、暑さ指数(WBGT)とその日の体調を優先して判断することが大切です。
熱中症予防運動指針では、WBGTが28以上31未満では「厳重警戒」とされ、激しい運動や持久走などは避けるよう示されています。
さらに、WBGT31以上では「運動は原則中止」です。
暑さ指数の数値は、気温そのものとは異なる点にも注意しましょう。
ここは「夏でも運動習慣を途切れさせたくない」という方ほど、覚えておきたいところです。
「暑くても運動したほうが健康によさそう」と無理をする必要はありません。
夏の健康管理では、予定していた運動をやり遂げることよりも、その日の環境に合わせて予定を変更できることのほうが大切な場合があります。
暑くない環境で体調がよければ、軽いストレッチや室内で少し体を動かす選択肢はあります。
ただし、「5分だけストレッチする」といった方法は熱中症を治療する方法ではなく、あくまで日常生活での小さな活動例です。
疲れている日は休む。
今日は軽く伸ばすだけにする。
過ごしやすい日は少し歩く。
このように、夏は毎日同じ運動量をこなすより、その日の暑さと体調に合わせて調整すること自体がセルフケアだと私は考えています。
特にWBGTは、気温だけでは分からない湿度や日射なども考慮した指標です。
「昨日と同じ気温だから今日も大丈夫」と考えず、その日の暑さ指数を見る習慣を持っておくと、運動するか休むかを判断する材料になります。
なお、熱中症が疑われる症状がある場合は、運動を中止し、涼しい場所へ移動するなどの対応を優先してください。
夏の疲労感が続くときは?熱中症との違いと受診の目安
夏の疲れで最も大切な7つ目の対策は、セルフケアで様子を見てよい状態かどうかを見分けることです。
「暑いと疲れるのは普通」と思っていても、強いだるさの背景に熱中症や別の病気が隠れている場合があります。
対策7|強い疲労感を「夏バテ」で片づけない
一般的に「夏バテ」は、暑さによって食欲が落ちたり、疲れやだるさを感じたりする状態を表す日常的な言葉です。
一方、熱中症は、暑い環境などによって体温調節がうまくいかなくなり、体に熱がたまることで起こる健康障害です。
熱中症では、頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感などが現れることがあります。
そのため、暑い場所にいたあとに急に強いだるさが出た場合には、単なる夏バテと決めつけないことが大切です。
特に次のような症状には注意してください。
- めまいや立ちくらみ
- 頭痛や吐き気
- 強い倦怠感や脱力感
- 集中力や判断力の低下
- 意識がはっきりしない
- 自力で水分を飲めない
熱中症が疑われる場合は、まずエアコンの効いた室内や日陰などの涼しい場所へ移動し、衣服を緩め、首の周り・脇の下・足の付け根などを冷やします。
意識がはっきりしていて、安全に飲み込める場合には、水分や必要に応じた塩分の補給を行います。
自力で水分を飲めない、意識がおかしい、意識がない場合は、すぐに119番へ連絡してください。
意識がはっきりしない人に、無理やり飲み物を飲ませてはいけません。
また、涼しい場所で休んでも症状が改善しない場合や、症状が強い場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
暑さ以外の原因で疲れている可能性もある
夏に起こる疲労感のすべてが、暑さによるものとは限りません。
暑い環境から離れて十分休んでも強い倦怠感が続く場合や、発熱、息苦しさ、強い痛みなど別の症状がある場合も、「夏だから疲れているだけ」と自己判断せず、医療機関への相談を検討してください。
睡眠不足や栄養不足だけでなく、貧血や感染症など、暑さとは別の原因で疲労感が現れることもあります。
季節と症状が重なると原因を一つにまとめて考えたくなりますが、「夏に起きた」と「夏が原因」は必ずしも同じではないという視点も持っておきたいところです。
私は、セルフケアという言葉を「全部自分でなんとかすること」だとは考えていません。
自分で整えられる部分を整え、それでもおかしいと感じたら専門家へつなぐ。
そこまで含めて、自分を守るためのセルフケアだと思っています。
夏の疲労感対策で最初に変えるならどれ?
7つ並ぶと、「結局どれから始めればいいの?」と思いますよね。
私なら、まず暑さ・水分・睡眠の3つを確認します。
暑い部屋を我慢していないか。
水分補給を忘れていないか。
暑くて何度も目が覚めていないか。
この3つは、特別な健康食品や道具を買わなくても見直せる部分です。
ここを確認したうえで、食事や活動量、冷房による寒さなど、自分に当てはまりそうなところへ広げていけば十分です。
迷ったときは、次のように考えると整理しやすくなります。
- 日中に暑い場所で過ごすことが多い → まず暑さ対策を見直す
- 忙しいと飲み物を忘れる → 水分補給を生活の区切りに組み込む
- 朝からだるく、夜も寝苦しい → 寝室と冷房の使い方を見直す
- 暑くなると麺やパンだけになりやすい → 一品だけ追加する
- 暑い日もいつも通り運動している → WBGTと体調を確認する
- 休んでも強い疲労感が続いている → 夏バテと決めつけず相談を考える
朝・昼・夜で疲れ方が違うときのチェックポイント
もう一つおすすめしたいのが、いつ疲れを強く感じるのかに注目することです。
たとえば、朝から体が重い場合は、前夜の睡眠環境を確認するきっかけになります。
一方、夕方になると疲労感が強くなる場合は、日中の暑さや水分補給、食事の状況を振り返ってみましょう。
疲れを感じる時間 振り返りたいこと
朝からだるい 寝室の暑さ・睡眠の中断
昼ごろに疲れる 暑い場所での活動・水分補給
夕方にぐったりする 日中の暑さ・食事・休憩
夜になっても疲れが強い 一日の活動量・暑さ・休息
一日中強いだるさがある 症状の程度・持続期間・ほかの症状
これは疲労の原因を診断するための表ではありません。
あくまで、生活の中で見直せそうな部分を探すための目安です。
疲労感が強い場合や、ほかの症状を伴う場合は、時間帯だけで判断せず医療機関へ相談してください。
私は夏の疲労感を、スマートフォンの充電に少し似ていると感じます。
毎日少しずつ充電が足りないまま使い続けているように、暑さや寝苦しさなど小さな負担が重なると、「昨日より今日のほうがなんとなくだるい」と感じることがあります。
これは医学的な仕組みをそのまま表したものではなく、あくまで生活を考えるための比喩です。
それでも、「疲れたから何かを足さなくては」と考えるより、充電を邪魔しているものはないかと考えると、自分の生活を見直しやすくなります。
暑いなら涼しくする。
水分を忘れるなら休憩時に飲む。
寝苦しいなら寝室を見直す。
食事が簡単になっているなら一品だけ足す。
運動が負担なら、その日は休む。
この「引き算のセルフケア」は、夏の疲労対策では意外と大切なのではないかと私は考えています。
夏の疲労感は「日中の消耗」と「夜の回復」を分けて考える
夏の疲労感を整理するときは、何によって疲れているかだけでなく、なぜ回復できていないのかという二つの方向から考えてみると分かりやすくなります。
日中には暑さや発汗などによって体への負担が増えます。
その一方で、夜まで室温が高ければ睡眠環境にも影響し、翌朝になってもすっきりしない状態につながる可能性があります。
つまり夏は、「日中に疲れること」だけを対策しても十分ではない場合があります。
日中の暑さを避けることと、夜に休みやすい環境をつくることをセットで考えるのがポイントです。
これは、夏の疲労対策を一日単位ではなく、24時間の回復サイクルとして見るということでもあります。
朝からだるいなら、前日の夜はどうだったか。
夕方になると極端に疲れるなら、日中の暑さや水分補給はどうだったか。
毎日なんとなく調子が悪いなら、食事や活動量まで含めて何日か振り返ってみる。
こうすると、「夏バテだから仕方ない」という大きなくくりではなく、自分が変えられそうなポイントを見つけやすくなります。
暑い日に疲れをためにくくする一日の過ごし方
たとえば、こんな一日の流れを考えてみてはいかがでしょうか。
朝は、起きたときの体調を確認する。
寝苦しくなかったか、朝から強い疲労感がないかを振り返り、水分補給も忘れないようにしましょう。
昼は、暑さを避けながら活動する。
外出や運動の前には暑さ指数を確認し、必要に応じて予定を調整します。
休憩や水分補給を後回しにしないことも大切です。
夕方は、疲労感と食事の状況を確認する。
食欲が落ちているなら、いつもの食事に卵や豆腐などを一品足してみましょう。
疲れが強い日は、無理に運動を追加する必要はありません。
夜は、眠りやすい環境を整える。
エアコンや寝具を調整し、暑さで睡眠が妨げられないようにします。
この流れは、すべての人に同じ生活をすすめるものではありません。
仕事や家庭の事情、体調に合わせて、取り入れられそうな部分だけ選んでみてください。
夏の疲労対策は「何かを足す」より「負担を減らす」
健康情報を調べていると、つい「疲労にいい食べ物」「疲労対策グッズ」のような新しいものへ目が向きます。
けれども個人的には、夏こそ何を追加するかより、回復を妨げる条件を先に探すという順番をおすすめしたいです。
たとえば、暑い寝室で十分に眠れていない状態なら、特別な食品を探す前に睡眠環境を見直すほうが、生活上の問題に直接向き合えます。
また、暑い場所で長時間過ごしているなら、まず涼しい環境へ移動することが優先です。
疲労対策は、何かをたくさん取り入れるほどよいわけではありません。
自分の生活の中で、どこに負担がかかっているのかを見つけることが大切だと思います。
特別なことを始めなくても、寝室を少し快適にする、水分を忘れないようにする、暑い日の運動を休む。
そんな小さな変更も、毎日を少し楽にするための立派なセルフケアです。
まとめ|暑いと疲れる理由を知って、夏の疲労感を減らそう
暑いと疲れるのは、体温調節への負担に加え、水分不足や寝苦しさ、食生活の変化など、複数の条件が重なりやすいためです。
今回紹介した7つの対策は、次のとおりです。
- 暑さを避ける
- こまめに水分を補給する
- 睡眠環境を整える
- 冷房による寒さを調整する
- 食事に一品足す
- 暑さと体調に合わせて運動する
- 続く不調を夏バテで片づけない
なかでも最初に確認したいのは、暑さ・水分・睡眠です。
そして、「日中にどれくらい消耗しているか」と「夜にきちんと回復できているか」の両方から、自分の一日を振り返ってみてください。
全部を一度に変える必要はありません。
「今日は寝室を少し快適にしよう」「水を手の届く場所に置いておこう」と、今の自分にできる一つから始めてみましょう。
夏のセルフケアは、特別なことを増やすより、回復を邪魔しているものを一つ減らす。
「まずは一つだけ試してみようかな」と思えるくらいの小さな一歩のほうが、毎日の生活にはなじみやすいと私は考えています。
よくある質問
暑いと何もしていなくても疲れるのはなぜですか?
暑い環境では、体が汗をかいたり皮膚の血流を増やしたりして、熱を逃がそうと働きます。
さらに、水分不足や体に熱がこもることなどが重なると、運動していなくても疲労感やだるさを感じる場合があります。
特に湿度が高い日は汗が蒸発しにくいため、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)にも注意しましょう。
夏に寝ても疲労感が抜けないのはなぜですか?
暑さや水分不足に加え、寝室の温度によって睡眠が乱れている可能性があります。
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、夏に寝室の室温が上昇すると、睡眠時間の短縮や睡眠効率の低下が報告されています。
「長い時間寝たのに疲れている」という場合も、まず寝室の暑さ、水分補給、日中に過ごしていた暑熱環境を確認してみましょう。
夏はエアコンをつけたまま寝ても大丈夫ですか?
暑さを我慢して眠る必要はありません。
夏は寝室の室温が高いことで睡眠時間が短くなる可能性があるため、エアコンなどを使って眠りやすい環境をつくることが大切です。
ただし、快適に感じる環境は人によって違います。
設定温度の数字だけで一律に決めず、湿度や寝具、風向き、体調も含めて調整しましょう。
暑い日に疲れやすいときは何を飲めばいいですか?
普段の水分補給には、水や麦茶などを利用できます。
大量に汗をかいた場合には、水分とともに塩分の補給が必要になることもあります。
ただし、水分や塩分を必要以上にとれば疲労が回復するわけではありません。
持病による水分・塩分制限がある方は、医師の指示に従ってください。
夏バテと熱中症はどう違いますか?
夏バテは、暑い季節に感じるだるさや食欲低下などを表す日常的な言葉です。
一方、熱中症は暑い環境などによって体温調節がうまくいかなくなり、体に熱がたまることで起こる健康障害です。
熱中症では、めまいや頭痛、吐き気、強い倦怠感、意識の異常などが現れることがあります。
急に症状が出た場合や、暑い場所で体調が悪くなった場合は、単なる夏バテと決めつけないようにしましょう。
夏の疲労感はいつ病院へ相談すればいいですか?
暑い環境で頭痛、吐き気、強い倦怠感などが出た場合は、熱中症の可能性も考え、まず涼しい場所へ移動して体を冷やしてください。
自力で水分を飲めない場合や意識がおかしい場合には、すぐに119番へ連絡してください。
また、暑い環境から離れて十分休んでも強い疲労感が続く、発熱や息苦しさ、強い痛みなど別の症状を伴う場合は、「夏バテ」と自己判断せず医療機関への相談を検討してください。
参考
- 環境省「熱中症予防情報サイト」
- 厚生労働省「熱中症予防のために」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 熱中症予防運動指針

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