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疲れすぎて眠れないのは、眠気につながる疲労がたまっていても、ストレスや光、カフェイン、生活リズムなどの「目を覚ます要因」が上回っていることがあるためです。
「クタクタなのだから眠れるはず」と考えがちですが、疲労と眠りは必ずしも同じ方向に動きません。眠れない夜は、眠気を無理につくるより、まず覚醒を高めているものを一つ減らしてみましょう。
疲れすぎて眠れないのはなぜ?
疲れていることと、すぐ眠れることは同じではありません。
一日の活動が長くなるほど「そろそろ眠りたい」という力は高まっていきます。この記事では分かりやすく、これを「眠気の圧力」と考えてみましょう。
一方で、人の睡眠には生活リズムや光、ストレス、カフェイン、精神的な緊張など、眠気とは別の要因も関係しています。
つまり、
- 疲労がたまり、眠気の圧力は高い
- しかしストレスや光などで覚醒も高い
という2つの状態が同時に起こることがあります。
これが、「ものすごく疲れているのに、なぜか眠れない」という一見矛盾した状態を理解するポイントです。
たとえるなら、体は「本日の営業終了」と言っているのに、頭の中だけ照明がついたままなのです。
だから対策も、「もっと疲れれば眠れる」と考えるのではなく、何が頭を起こしているのかを減らす方向で考えるほうが整理しやすくなります。

ストレスや不安で頭が活動を続けている
仕事や人間関係、家事、将来への不安などが続いていると、寝床に入ってからも考え事が止まりにくくなります。
ニュースやSNSを長時間見続けることも、本人が思っている以上に多くの情報を頭へ入れ続けることになります。
さらに寝つけないと、「あと6時間しか眠れない」「明日の仕事は大丈夫かな」と時計が気になってくることがあります。
すると今度は、眠れないことそのものが新しいストレスになります。
疲れた日は、眠るために頑張るというより、「今日考えなくてもいいものを頭から降ろす」という感覚のほうが合っているかもしれません。
スマートフォンやカフェインなどの刺激が残っている
寝る直前までスマートフォンで動画やSNSを見ていると、明るい画面だけでなく、次々と入ってくる情報によって覚醒が続きやすくなります。
ほかにも、寝る前の強い刺激になり得るものとして、
- 激しい運動
- 熱すぎる入浴
- 明るい照明
- カフェイン
- 過度な飲酒
- 喫煙
などがあります。
疲れた夜ほど「何かをして気分転換したい」と思いますが、眠りに向かう時間は、刺激を足すより引く時間と考えてみると分かりやすいでしょう。
疲れすぎて眠れない原因|生活リズムの乱れも関係する
疲れすぎて眠れない原因は、その日の疲労やストレスだけではありません。
起きる時刻や朝の光、昼間の活動など、一日のリズムも夜の眠気に関わっています。
たとえば平日は睡眠不足で、休日になると昼過ぎまで眠る生活を繰り返していると、眠る時刻と起きる時刻がずれやすくなります。
夜だけを整えようとしても、朝から夕方までの過ごし方が大きく乱れていると、寝床に入ったときに都合よく眠気が来てくれるとは限りません。
特に見直しやすいのが朝の光です。
参考にした資料では、午前中のできるだけ早い時間に15分程度、太陽の光を浴びる方法が紹介されています。
また、朝の光などによって生活リズムが整うと、起床からおよそ14〜16時間後が眠気を感じやすくなる一つの目安として紹介されています。
ただし、これは全員に当てはまる厳密な時刻ではありません。
睡眠時間や生活スタイルには個人差があるため、「14時間たったのに眠くない」と時計だけで判断する必要はないでしょう。
大切なのは、眠れなかった夜の修正を、次の夜まで待たないことです。
翌朝起きるところから、次の夜の準備は始まっています。

疲れすぎて眠れない夜はどう対処する?
眠れないときに最初から「今すぐ寝る」を目標にすると、それ自体がプレッシャーになることがあります。
そこで私は、最初の目標を「覚醒を一段下げる」くらいに置くのがよいと考えています。
眠気を無理につくるのではなく、頭を起こしている原因を一つずつ減らしていくイメージです。
スマートフォンからいったん離れる
まず試しやすいのは、寝床の中で情報を受け取り続けないことです。
SNSを少しだけ見るつもりが、動画、ニュース、コメントと次々に情報がつながってしまうことがあります。
「今日はここまで」と区切りをつけ、画面を見る時間を終えるだけでも、眠りへ向かうための環境はつくりやすくなります。
ゆっくり呼吸する
腹式呼吸も、自宅で取り入れやすい方法として紹介されています。
鼻からゆっくり息を吸い、お腹が膨らむ感覚を意識したあと、口からゆっくり吐きます。
一例として、吐く時間を吸う時間より長めにする方法があります。
秒数を正確に数える必要はありません。
「ちゃんとできているかな」と考え始めると新しい課題になってしまうので、苦しくない範囲でゆっくり呼吸できれば十分です。
軽くストレッチする
寝る前に体を動かすなら、激しい運動よりも、反動をつけず筋肉をゆっくり伸ばす方法が向いています。
参考資料では、30秒以上を目安としてゆっくり伸ばす方法が紹介されています。
ただし、疲れを早く取ろうとして痛いほど伸ばす必要はありません。
ストレッチの目的は「さらに体を頑張らせること」ではなく、一日の活動を終える合図をつくることと考えるとよいでしょう。
心地よい香りを使う
ラベンダーやカモミール、スギ、ヒノキなどの香りを使ったリラックス方法も挙げられています。
香りは好みの差が大きいため、「眠れる香り」と決めつけるのではなく、本人が心地よく感じるものを選ぶことが大切です。
強く香らせる必要もありません。

疲れすぎて眠れない人が日中に見直したい習慣
同じ状態を繰り返しているなら、寝る直前だけでなく昼間にどれだけ「夜眠れる流れ」をつくれているかも確認してみましょう。
ポイントは、生活を一気に完璧にすることではありません。
一つずつ、「これは眠りを邪魔していないかな」と見直していけば十分です。
起床時間を大きくずらさない
眠れなかった翌朝は、できるだけ長く寝て取り戻したくなります。
しかし、起きる時刻が日によって大幅に変わる生活は、睡眠のリズムを整えにくくすることがあります。
寝る時間が遅くなった日でも、朝起きる時間をなるべく一定にする考え方が紹介されています。
もちろん、無理に睡眠時間を削るという意味ではありません。
まずは「休日だけ数時間遅くなっていないか」など、自分の生活パターンを確認してみるところからでよいでしょう。
日中に適度に体を動かす
日中の運動も睡眠を考えるうえで大切です。
一例として、就寝の5〜6時間前に30分程度の有酸素運動を取り入れる方法が紹介されています。
ウォーキングやジョギング、ダンス、踏み台昇降など、リズムよく体を動かす運動が例です。
一方、寝る直前に息が上がるほど激しく運動すると、かえって頭や体が活動モードへ戻ってしまう可能性があります。
「疲れれば眠れるだろう」と夜遅くに運動量を増やすより、日中に適度に動くほうが取り入れやすいでしょう。
カフェインを摂る時間を確認する
カフェインはコーヒーだけではありません。
紅茶、緑茶、チョコレート、栄養ドリンクなどにも含まれるものがあります。
昼間に眠いためカフェインを増やし、その結果夜に寝つけず、翌日さらに眠い――。
こうした循環に心当たりがある人は、摂取量だけでなく摂る時刻も確認してみましょう。
参考資料では、なるべく午前中に摂り、昼間でも摂りすぎに注意する考え方が示されています。
私なら、生活全部を変えるより、まず夕方以降のカフェインを一つ減らすところから試します。

疲れすぎて眠れないなら食事・入浴・寝室も確認する
夜の食事や入浴、寝室の環境も、覚醒を高めたり眠りを妨げたりする要因になり得ます。
ここでも「この数字を守れば必ず眠れる」と考えず、自分の眠りを邪魔しているものを探す目安として使ってください。
夕食は寝る直前を避ける
参考資料では、夕食を就床3時間以上前に済ませる方法が紹介されています。
特に脂肪分の多い食事は、胃の不快感や胃酸の逆流などにつながり、眠りを妨げる場合があります。
一方で、お腹が空いて眠れないときには、温かいスープなどを少量取る選択肢もあります。
重要なのは、「3時間」という数字を絶対条件にすることではありません。
寝る直前の重い食事が続いていないかを振り返るための目安として考えるほうが使いやすいでしょう。
寝酒を睡眠対策にしない
お酒を飲むと寝つきやすく感じることがあります。
しかし、その作用は一晩中続くわけではなく、途中で目が覚めやすくなることがあります。
飲酒する場合の一例として、遅くとも就床4時間前までという目安も紹介されています。
これも全員共通の「安全な時刻」という意味ではありません。
少なくとも、眠るためにお酒を使う習慣には注意するという点を覚えておきたいところです。
入浴は寝る直前より少し前に
入浴については、床に就く1〜2時間前に20分ほど、ゆっくり湯船につかる方法が挙げられています。
反対に、寝る直前の熱いお風呂や長風呂は、人によっては目が冴える原因になります。
「疲れたから熱いお湯で一気にリセット」とするより、眠りに向かう時間帯は刺激を強くしすぎないほうがよいでしょう。
寝室の不快感を一つ減らす
室温、湿度、光、音、寝具、寝衣なども睡眠環境の一部です。
参考資料では、湿度40〜70%、冬季20℃前後、夏季26℃前後などが目安として紹介されています。
ただし、快適と感じる温度には個人差があります。
また、明るさについても「必ず真っ暗」と決めつけるのではなく、眠りを邪魔しない程度にできるだけ暗くすると考えるほうが現実的です。
暑い、寒い、まぶしい、音が気になる。
まずは自分が感じている不快感を一つ減らしてみましょう。

疲れすぎて眠れない状態が続くときは受診も考える
疲れすぎて眠れない日がたまにある程度なら、まず生活リズムや夜の刺激を見直す方法があります。
ただし、眠れない状態が長く続く、日中の生活に大きな支障が出ている、ほかの症状を伴う場合は、疲れだけの問題と決めつけないことが大切です。
不眠に関連して参考資料で挙げられているものには、
- 睡眠時無呼吸症候群
- 更年期に伴う不調
- うつ病
- むずむず脚症候群
- 痛みやかゆみなど身体的な不調
などがあります。
いびきや睡眠中の呼吸の異常を指摘される、昼間に強い眠気が出る、気分の落ち込みが続く、脚の不快感で眠れないなど、睡眠以外にも気になる症状がある場合は医療機関への相談を検討してください。
また、短い睡眠時間が慢性的に続くことも軽く考えないほうがよいでしょう。
参考資料では、1日4時間ほどの睡眠を慢性的に続けることによって、集中力や記憶力への影響のほか、心身へのさまざまな負担が生じる可能性が指摘されています。
睡眠不足で疲れる。
疲れすぎて夜も覚醒が抜けない。
また眠れない。
この循環に入っていると感じたら、「もっと頑張って寝る」より、必要に応じて専門家へ相談することも選択肢です。
私が考えるポイント|「眠気を増やす」より「覚醒を減らす」
今回の資料を整理していて、私が特に大切だと感じたのは、疲労と覚醒を同じものとして考えないことです。
長く活動していれば眠気につながる力は高まります。
しかしその一方で、仕事の緊張、SNS、明るい光、カフェイン、不規則な生活などによって「まだ活動する時間ですよ」という刺激が残っていることもあります。
言ってみれば、アクセルを踏みながら「どうして車が止まらないのだろう」と悩んでいるような状態です。
そこでさらに激しい運動をしたり、「早く寝なくちゃ」と焦ったりして眠気を強くしようとするより、まずアクセルから足を離す。
私はこの考え方のほうが、「疲れすぎて眠れない」という状態には合っていると思います。
そして、もう一つ見落としたくないのが「眠り方」だけではなく「疲れ方」を見ることです。
毎日のように限界近くまで疲れてから帰宅し、そのまま情報を見続け、寝床に入っても頭の中で仕事を続けているのであれば、寝る前の呼吸だけでは追いつかないことがあります。
休憩を取る。
夕方以降の仕事を少し区切る。
スマートフォンを見る時間を短くする。
カフェインを一杯減らす。
起きる時間を大きくずらさない。
「睡眠改善」と聞くと生活すべてを正しくしなければならないように感じますが、そんな必要はありません。
まずは、自分を起こし続けているものを一つだけ減らしてみる。
疲労改善研究所としては、そのくらいの小さな一歩からで十分だと考えています。
まとめ|疲れすぎて眠れないときは「覚醒」を一つ減らそう
疲れすぎて眠れないのは、疲労が足りないからとは限りません。
眠気につながる疲労がたまっていても、ストレス、生活リズム、光、スマートフォン、カフェインなどの覚醒要因が重なると、寝つきにくくなることがあります。
そんな夜は、すぐ眠ろうと頑張るより、スマートフォンを置く、照明を暗くする、呼吸をゆっくりするなど、覚醒を高めているものを一つ減らすところから試してみてください。
それでも眠れない状態が続いたり、日中の強い眠気や気分の落ち込み、呼吸の異常、痛みなどを伴ったりする場合は、生活習慣だけで解決しようとせず医療機関への相談も検討しましょう。
よくある質問
疲れすぎると逆に眠れなくなることはありますか?
あります。
疲労によって眠気につながる力が高まっていても、ストレスや光、カフェイン、生活リズムの乱れなどによる覚醒が強いと、疲れているのに寝つけないことがあります。
疲れすぎて眠れないとき、最初に何をすればいいですか?
「すぐ眠る」より、刺激を一つ減らすことから始めてみましょう。
スマートフォンを置く、照明を少し落とす、ゆっくり呼吸するなど、自分が取り入れやすいものを一つ選べば十分です。
疲れすぎて眠れない状態が続いたら病院へ行くべきですか?
眠れない状態が長く続く、日中の生活に大きな支障がある、強い眠気や気分の落ち込み、睡眠中の呼吸異常、痛みなどを伴う場合は医療機関への相談を検討してください。
睡眠時無呼吸症候群など、別の原因が関係している場合もあります。
参考
- 疲れているのに眠れないのはなぜ?原因や寝られないときに効果的な対処法をご紹介!|がんばるあなたに。疲れの情報局|アリナミン
- 山下明子「こうすれば、夜中に目覚めずぐっすり眠れる」
- 山下明子「悪習慣の罠」
- バイオメカニズム学会誌「良質な睡眠のための環境づくり-就寝前のリラクゼーションと光の活用-」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014」
- 国立保健医療科学院 睡眠資料Aガイドライン「睡眠障害とは」
- 1日4時間睡眠の末路とは?健康リスク・寿命・改善法を徹底解説!|横浜心療内科・精神科よりそいメンタルクリニック
