眼精疲労のマッサージでは、眼球を強く押さず、首の後ろ・うなじ・側頭部をやさしくほぐし、まず画面作業を休むことが大切です。
目が重い、こめかみが気になる、パソコン作業のあとに首までガチガチになる。そんなときは「目元を強くもめばいい」と考えるのではなく、目・首・作業環境をセットで休ませるところから始めてみましょう。
大正製薬「眼精疲労に効くツボ、マッサージは『後頭部』を!」では、後頭下筋群や側頭筋など、目から少し離れた場所をほぐす方法が紹介されています。
ただし、これは疲れたときに取り入れるセルフケアです。マッサージによって眼精疲労そのものを治療できるという意味ではありません。
眼精疲労とは?「目が疲れた」だけとは少し違う
眼精疲労とは、目を使い続けたことで、目だけでなく全身にも疲れや不調を感じる状態を指します。
「夕方になると目が重いから、単なる目の使いすぎだろう」と考えたくなりますが、原因はそれだけとは限りません。
近視・遠視などの屈折の問題や、目・全身の病気が関係している場合もあるため、長引く症状を「パソコンの見すぎ」と決めつけないことが大切です。
近くを見るとき、目の中ではピントを合わせるために毛様体筋が働きます。近くへピントを合わせる際には毛様体筋が収縮し、さらに両目を内側へ寄せる働きも加わります。
スマートフォン、パソコン、読書などで近い距離を長時間見続ける生活は、それだけ目を近距離作業へ集中させる時間が長くなるということです。
そしてパソコンやスマートフォンを見るときには、目だけを使っているわけではありません。
画面へ顔を近づけたり、頭を前へ出したまま同じ姿勢を続けたりすれば、首や肩にも負担がかかります。
つまり、眼精疲労を考えるときは「目元をもめばいい」という単純な話ではないのですね。
目を使い続けている時間、見ている距離、眼鏡の状態、姿勢、首や肩の負担まで含めて考える。私はここが、眼精疲労のセルフケアを始めるときの大切なポイントだと思っています。
眼精疲労のマッサージ方法は?首・後頭部・側頭部をやさしくケア

眼精疲労が気になるときのセルフマッサージとして、大正製薬の記事では首の後ろ、後頭部とうなじの境目、側頭部をほぐす方法が紹介されています。
記事は、鍼灸マッサージ師で「神楽坂ホリスティック・クーラ」代表の石垣英俊氏が監修しています。
特徴的なのは、疲れている目そのものを強く刺激するのではなく、目を使う生活のなかで負担が集まりやすい周辺へ目を向けているところです。
元記事には動画による手技の解説もありますが、確認できる本文情報だけでは「1か所を何秒」「何回繰り返す」といった一律の実施時間は明記されていません。
そのため、根拠のない秒数や回数を決めるのではなく、痛みを我慢するほど強く行わないことを基本にしてみましょう。
1.首の後ろを包むようにやさしくほぐす
まず、両手を首の後ろへ添えます。
大正製薬の記事では、首の後ろを手で包み、つまむようにもみほぐしながら、「風池(ふうち)」と呼ばれるポイントにも刺激を加える方法が紹介されています。
ここで大切なのは、首を大きく反らしたり、指先で一点を強く押し込んだりしないことです。
「効かせたい」と思うほど力を入れたくなりますが、強い刺激を加えることが目的ではありません。
デスクワーク中なら、まず画面から視線を外して肩の力を抜き、そのうえで首の後ろへ手を添えてみましょう。
この順番にすると、マッサージが単なる作業の延長ではなく、いったん目と体を休ませるきっかけになります。
2.うなじと後頭部の境目をやさしく触れる
次は、頭と首の境目付近です。
この深部には「後頭下筋群」と呼ばれる小さな筋肉の集まりがあります。大正製薬の記事では、頭や首の細かな動きに関わる部位として説明し、眼精疲労時のセルフケアとして後頭部をほぐす方法を紹介しています。
ただし、ここはきちんと線引きしておきたいところです。
「後頭下筋群のマッサージがセルフケアとして紹介されていること」と、「後頭下筋群をほぐせば眼精疲労が医学的に治ること」は同じではありません。
セルフケアとして取り入れるなら、「治すために押す」というより、長時間固定されていた首や頭を休ませる時間として考えるほうが無理がありません。
頭と首の境目は、力任せにグイグイ刺激する場所ではありません。気持ちよさを求めて強く押し続けるのではなく、やさしく触れることを意識しましょう。
3.側頭部を指の腹でやさしくほぐす
3つ目は、耳の上からこめかみ周辺に広がる側頭部です。
大正製薬の記事では、目が疲れているときには側頭筋も硬くなっているとして、側頭筋をもみほぐす方法を紹介しています。
指の腹を使い、皮膚を強くこすったり、痛いほど押し込んだりしないようにします。
特にこめかみ周辺は目に近いため、「ここを強く押せば目までスッキリするのでは」と考えてしまうかもしれません。
しかし、セルフケアは強さを競うものではありません。少し触れて気持ちが落ち着くくらいで十分と考えておくと、無理をしにくくなります。
私なら、この3か所を「疲れを消すためのポイント」と考えるより、目を酷使していたことに気づくための休憩スイッチとして使います。
首や側頭部に手を添えたら、そのままパソコンへ戻るのではなく、少し画面から離れる。ここまでをセットにしたいところです。
目の周りをマッサージするときの注意点は?

目の周りをマッサージするときに一番避けたいのは、疲れている眼球そのものを、まぶたの上からグイグイ押すことです。
「目の周りをケアする」ことと「眼球に圧力をかける」ことは分けて考えましょう。
眉の周辺や側頭部に触れる場合も、強い刺激は必要ありません。
目が疲れていると、「強く押したほうが効きそう」「痛いくらいのほうがスッキリしそう」と感じることがあります。
けれど、セルフケアで目指したいのは刺激の強さではなく、目を使い続けている状態からいったん離れることです。
さらに注意したいのが、すべての目の不調を眼精疲労だと自己判断しないことです。
眼精疲労には、目の使い方だけでなく屈折状態や目・全身の病気が関係する場合があります。
休んでも繰り返す、なかなか楽にならない、見え方に違和感があるといった場合は、マッサージだけを続けるより原因を確認することが重要です。
特に、急に見えにくくなった、視野がおかしい、強い眼痛があるなど、普段とは違う症状が出た場合は、セルフマッサージより医療機関への相談を優先してください。
いつもと違う症状まで「疲れ目だから」と片づけてしまうと、本来確認したほうがよい変化を見逃してしまう可能性があります。
「疲れているから、もっと強く押そう」ではなく、「いつもの疲れ方と違わないかな」と一度立ち止まる。
これも、とても大切なセルフケアの一つです。
眼精疲労ではマッサージより「休む仕組み」を先につくる

眼精疲労のセルフケアで私がいちばんお伝えしたいのは、マッサージを覚えること以上に、目や首が疲れ切る前に情報機器作業を区切る仕組みをつくることです。
目が疲れてから5分マッサージすることだけを考えるより、「そもそも何時間も続けて見ない」環境をつくるほうが、セルフケアの土台として考えやすくなります。
厚生労働省が2019年に示した「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、一連続作業時間が1時間を超えないようにすることが示されています。
さらに、次の連続作業までに10~15分の作業休止時間を設け、一連続作業時間の中にも1~2回程度の小休止を設けるよう示されています。
「1時間集中したら、そこからさらにスマホを見る」という過ごし方では、近い距離を見る状態そのものは続いてしまいます。
休憩するときは、パソコンやスマートフォンとは違う過ごし方へ切り替えることも意識してみましょう。
同ガイドラインでは、ディスプレイとの視距離をおおむね40cm以上確保し、画面上端を眼の高さとほぼ同じか、やや下にすることが望ましいとされています。
つまり、眼精疲労対策は「疲れたあとに何をするか」だけではありません。
疲れやすい作業のしかたそのものを見直すこともセルフケアの一部なのですね。
これは「マッサージで疲れをリセットすれば、そのまま長時間作業してよい」という考え方とは、かなり違います。
私なら、眼精疲労が気になるときの優先順位を次のように考えます。
- まず画面作業をいったん止める
- 近くばかり見続けない時間をつくる
- 首・肩を同じ姿勢から解放する
- 画面までおおむね40cm以上を確保する
- 画面の高さも見直す
- それでも首や側頭部が気になるときに、やさしくほぐす
ポイントは、マッサージを最初ではなく最後の補助に置くことです。
近くを見るときには毛様体筋を収縮させてピントを合わせる働きが必要です。一方、遠くを見るときには、そのピント合わせに必要な力が少ない状態になります。
そのため、「休憩なのにスマホを見る」のではなく、窓の外など近距離ではない場所へ視線を移すほうが、近くを見る作業から切り替えるという意味では自然です。
仕事中に毎回完璧な休憩を取るのは難しいかもしれません。
そんなときは、まず一つだけ。「作業の区切りで画面から目を離す」と決めるところから始めてもよいと思います。
眼精疲労のセルフケアは「目・首・作業環境」を分けない

眼精疲労のマッサージ方法を調べていると、「どのツボを押せばいいのか」「どこをマッサージすれば早く楽になるのか」に意識が集まりやすいものです。
でも私は、今回の情報を整理してみて、マッサージする場所よりも“なぜそこまで疲れたのか”を一緒に見ることのほうが大切だと感じました。
たとえば、首の後ろをほぐして少し楽に感じても、ノートパソコンへ顔を近づけ、何時間も同じ姿勢で作業すれば、また同じような負担が積み重なります。
逆に、画面との距離や高さ、作業時間、休憩まで見直せば、マッサージの役割も変わってきます。
「疲れを帳消しにする方法」ではなく、自分の疲れに気づいて作業をいったん区切る合図として使えるからです。
ここが、私がセルフケアを続けるうえで大事にしたい視点です。
「目がつらい→強く押す」ではありません。
「目がつらい→いったん作業を止める→視線を近距離から外す→首や姿勢も確認する→必要ならやさしく触れる」。
この順番なら、無理を重ねにくくなります。
さらに、眼精疲労を繰り返す人ほど「マッサージのやり方」だけではなく、疲れが出る直前に何をしていたかを一度振り返ってみるのもおすすめです。
長時間パソコンを見ていたのか、スマートフォンを顔の近くで見ていたのか、画面へ顔を近づけていたのか、休憩中まで別の画面を見ていたのか。
原因を一つに決めつける必要はありません。
ただ、「夕方になると必ずつらい」「長時間の資料作成後に気になる」といった自分なりのパターンが見えてくると、疲れ切ってから対処するだけではなく、その少し前に休憩を入れるという選択ができます。
セルフケアは、不調が出てから頑張って元へ戻すことだけではありません。
不調が大きくなる前に、「そろそろ休もうかな」と気づけるようになることも、大切なセルフケアだと私は考えています。
眼精疲労のマッサージを続ける前に見直したい3つのポイント
眼精疲労が繰り返し気になる場合は、「もっと上手なマッサージ方法はないかな」と探し続ける前に、日常の3つのポイントを確認してみましょう。
1つ目は、作業時間です。
長時間続けて画面を見ることが当たり前になっていないでしょうか。
一連続作業時間を1時間以内にし、作業休止や小休止を取り入れるという考え方を、自分の仕事の流れに合わせて取り入れてみましょう。
2つ目は、画面との距離です。
集中すると、いつの間にか画面へ顔が近づいてしまうことがあります。
ディスプレイとの距離がおおむね40cm以上になっているか、ときどき確認してみるだけでも、作業環境を見直すきっかけになります。
3つ目は、症状の出方です。
休めば落ち着くいつもの疲れなのか、それとも休んでも繰り返したり、見え方まで変化したりしているのか。
セルフケアを続けてよい状態なのかを考えることも忘れないようにしましょう。
マッサージの技術を増やすより、「休む・環境を変える・必要なら相談する」という選択肢を持っておくことのほうが、長く付き合える対策になるのではないでしょうか。
考察|眼精疲労対策は「疲れた後」から「疲れる前」へ
眼精疲労という言葉を聞くと、どうしても「疲れた目をどう回復させるか」に意識が向きます。
そのため、ツボやマッサージ方法を検索したくなる気持ちはよく分かります。
ただ、今回の情報を並べてみると、もう一段前を見る必要がありそうです。
首の後ろや後頭部、側頭部をやさしくケアする方法がある一方で、情報機器作業については、作業時間を区切ることやディスプレイとの距離を確保することも示されています。
筆者としては、ここに眼精疲労セルフケアの大切なヒントがあると感じます。
「疲れたから何をするか」だけでなく、「疲れ切る前に何を変えるか」を考えることです。
これは、マッサージを否定するという話ではありません。
むしろマッサージを「疲労を無理やりリセットするもの」ではなく、「そろそろ休んだほうがいいよ、と自分に知らせる時間」と考えると、とても使いやすいセルフケアになります。
首へ手を添えたら、そのまま作業を続けず少し休む。
側頭部が気になったら、画面との距離も確認する。
夕方になると目が重くなるなら、その少し前に作業を区切る。
こうして症状と生活をつなげて考えることが、眼精疲労と無理なく付き合う第一歩ではないでしょうか。
そして、セルフケアで忘れたくないのが、「自分ですべて解決しなければ」と思わないことです。
目の不調には、単純な使いすぎだけでは説明できないものもあります。
いつもと違う見え方や強い痛みなどがあるときは、マッサージを増やす方向ではなく、原因を確認する方向へ切り替える。
この「やめる判断」まで含めて、私はセルフケアだと思っています。
まとめ|眼精疲労のマッサージは「強く押す」より休息の補助に
眼精疲労を和らげるためのセルフケアとして、大正製薬では首の後ろ、後頭部とうなじの境目にある後頭下筋群周辺、側頭部をほぐす方法が紹介されています。
ただし、マッサージは眼精疲労の原因そのものを治療する方法ではありません。眼球をまぶたの上から強く押すことも避けましょう。
情報機器作業では、一連続作業時間を1時間以内で区切り、次の作業までに10~15分の作業休止を設けること、一連続作業時間の中にも1~2回程度の小休止を設けることが示されています。
また、ディスプレイとの視距離をおおむね40cm以上確保するなど、疲れをためにくい作業環境をつくることが土台です。
まず一つ試すなら、次に目が重くなったとき、まぶたの上から眼球を押すのではなく、いったん画面から離れてみませんか。
そのうえで肩の力を抜き、首の後ろや側頭部へそっと手を添える。
全部を一度に変えなくても大丈夫です。「まず画面から目を離す」くらいの小さな一歩から始めてみましょう。
よくある質問
眼精疲労は目の周りを強くマッサージしたほうが早く楽になりますか?
強く押す必要はありません。特に眼球そのものへ強い圧力をかけるセルフケアは避けましょう。
紹介されているセルフケアも、首の後ろや後頭部、側頭部など周辺へのアプローチが中心です。
「強いほどよい」と考えず、画面作業を休むことと組み合わせて、やさしく行うことを意識しましょう。
眼精疲労には目元と後頭部のどちらをマッサージすればいいですか?
どちらか一方を「正解」と考える必要はありません。
後頭下筋群や側頭筋などのセルフマッサージが紹介されていますが、まずは画面作業を休み、目と首の両方を同じ姿勢から解放することを優先するとよいでしょう。
眼精疲労を「目だけの問題」として切り離さず、首や姿勢、作業環境まで一緒に見直すのがポイントです。
マッサージをすればパソコンを長時間見続けても大丈夫ですか?
いいえ。マッサージで長時間作業の負担を帳消しにできるわけではありません。
情報機器作業では、一連続作業時間を1時間以内とし、次の作業までに10~15分の作業休止を設けることなどが示されています。
マッサージは休息の代わりではなく、補助的なセルフケアと考えましょう。
眼精疲労の休憩中にスマートフォンを見てもいいですか?
パソコン作業を休んでも、そのままスマートフォンで近い距離を見続ければ、近距離を見る状態は続きます。
休憩では、窓の外など近距離ではない場所へ視線を移し、画面から離れる時間をつくるほうが、作業を切り替えるという意味では自然です。
眼精疲労で医療機関への相談を考えたほうがよいのはどんなときですか?
休んでも症状を繰り返す場合や、見え方に違和感がある場合は、マッサージだけで対応し続けず原因を確認することが大切です。
特に、急に見えにくくなった、視野がおかしい、強い眼痛があるなど普段とは違う症状がある場合は、セルフマッサージより医療機関への相談を優先してください。
参考
- 大正製薬「眼精疲労に効くツボ、マッサージは『後頭部』を!」
- 日本眼科医会「屈折異常と眼精疲労」
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
