疲労感が抜けないのは肝臓が原因?だるさとの関係と注意したいサイン

疲労感を感じながら休む人と肝臓の健康をイメージした場面

「疲労感が抜けない=肝臓が悪い」とは判断できません。黄疸、濃い尿、食欲低下、むくみ、健診の肝機能異常などが重なる場合は確認が必要です。

寝てもだるい日が続くと、「もしかして肝臓が疲れているのかな?」と心配になりますよね。肝臓の病気で全身倦怠感が現れることはありますが、疲労感には睡眠不足、ストレス、貧血、感染症など、ほかにもさまざまな原因があります。

目次

疲労感が抜けないのは肝臓が原因なの?

疲労感を抱える人と体内の肝臓の位置を示すイメージ
※画像はAIによるイメージ

肝臓の病気で疲労感や全身のだるさが現れることはありますが、疲労感だけでは肝臓が原因かどうかを判別できません。

ここは、この記事でいちばん大切にしたいポイントです。

厚生労働省の「知って、肝炎プロジェクト」では、急性肝炎で発熱、全身倦怠感、黄疸などがみられることが紹介されています。

一方で、肝臓は異常があっても症状が出にくいことから「沈黙の臓器」と呼ばれています。つまり、「だるいから肝臓が悪い」とも、「痛くないから肝臓は大丈夫」とも言い切れないのです。

肝臓は、食事から取り込んだ栄養を利用しやすい形に変えたり、体に不要な物質を処理したり、胆汁をつくったりと、体の中でたくさんの仕事をしています。

例えるなら、休まず動いている「加工場兼倉庫」のような存在ですね。

ただし、「肝機能が落ちたからエネルギーが作れず疲れる」と単純な仕組みに置き換えるのは避けたいところです。

医学的には、肝炎などの肝疾患で全身倦怠感や食欲不振などがみられることがあると捉えるのが安全です。

ですから、「寝ても疲れが取れない」「体が重い」という感覚だけで肝臓に原因を絞り込むより、疲労以外に何が起きているかを確認するほうが役立ちます。

睡眠時間が足りているか、発熱や食欲低下はないか、体重や飲酒量に変化はないか。さらに健康診断で肝機能について何か指摘されていないかまで並べてみると、次に何をすればいいのかが見えやすくなります。

「肝臓が疲れている」という言葉は日常ではよく使われますが、疲労感だけを根拠に肝臓の状態を推測するのは難しいものです。

疲れを感じることと、肝臓に異常があることは同じ意味ではない。まずここを分けて考えておくと、必要以上に心配したり、反対に必要な確認を後回しにしたりしにくくなります。

肝臓による疲労感にはどんな特徴がある?

「肝臓が悪いと、どんな疲れ方をするの?」という疑問を持つ方も多いと思います。

ただ、疲れ方そのものから肝臓由来かどうかを見分けることは困難です。

「朝からだるい」「寝ても疲れが抜けない」「体が重い」といった感覚は、肝疾患だけに特有のものではありません。

そのため、疲労感の「種類」を細かく分析するよりも、黄疸や尿の色、食欲、吐き気、むくみ、発熱など、疲労以外の変化が一緒に起きていないかを見るほうが現実的です。

私自身、体調について調べるときは、一つの症状だけから原因を当てようとしないことが大切だと感じています。

人の体は、「この疲れ方なら肝臓」「このだるさなら睡眠不足」というほど単純ではないからです。

「肝臓かどうかを当てる」より、受診や検査が必要そうな材料が重なっていないかを確かめる。この考え方のほうが、必要以上に不安になりにくく、見逃しも減らしやすいと思います。

「寝ても疲れが取れない」だけでは見分けられない

検索していると、「肝臓が悪いと朝から疲れる」「寝ても回復しない」といった情報が気になるかもしれません。

しかし、睡眠を取っても疲労感が続く状態には、睡眠そのものの不足や生活リズムの乱れ、ストレスなども関係します。元記事で触れているように、貧血や感染症など別の原因も考えられます。

そこで役立つのが、疲れ方に名前をつけようとするのではなく、疲れ以外の変化をセットで確認する方法です。

たとえば「朝から体が重い」という情報だけでは判断材料が少なくても、「食欲も落ちた」「尿の色も変わった」「健診でも肝機能を指摘された」と情報が重なれば、医療機関へ相談する理由がより明確になります。

疲労感と何が重なったら肝臓を確認したい?

黄疸や濃い尿やむくみなど肝臓の不調で注意したいサイン
※画像はAIによるイメージ

疲労感に黄疸、濃い尿、食欲不振、吐き気、むくみなどが加わっている場合は、「ただの疲れ」と決めつけないことが大切です。

肝疾患でみられることがある変化として、次のようなものがあります。

  • 全身の強いだるさ、倦怠感
  • 食欲が落ちる
  • 吐き気や嘔吐
  • 白目や皮膚が黄色くなる「黄疸」
  • 尿が褐色や濃い茶色になる
  • 足などがむくむ
  • お腹が張る
  • 健康診断で肝機能異常を指摘される

国立健康危機管理研究機構の肝炎情報センターでも、急性肝炎の症状として黄疸、食欲不振、吐き気・嘔吐、全身倦怠感、発熱などが挙げられています。

ただし、ここでも注意があります。

黄疸、尿の色の変化、むくみ、疲労感は、肝臓だけに起こる症状ではありません。

だから「この症状なら肝臓病」と自分で答え合わせをするのではなく、症状が重なっているときに医療機関へ相談するためのサインとして考えるのがおすすめです。

たとえば、「最近少し疲れている」だけの場合と、「強い疲労感に加えて食欲も落ち、白目が黄色っぽく、尿も明らかに濃くなった」という場合では、受け止め方が変わります。

大事なのは症状一つひとつの強さだけではなく、いつから、何が、いくつ重なっているかです。

急性肝炎と慢性的な肝障害では気づき方が違う

急性肝炎では、比較的短い期間に発熱、倦怠感、食欲低下、吐き気、黄疸などが現れることがあります。

一方、B型・C型肝炎などによる慢性的な肝障害では、自覚症状が目立たないまま経過することもあります。

ここが肝臓の少し難しいところです。

「症状が強くなったら調べる」だけではなく、症状がない時期の健康診断や検査にも意味がある。私はこの視点を、疲労感と肝臓を考えるうえで特に大切にしたいと思っています。

「元気だから異常はないはず」とも、「だるいから肝臓が悪いはず」とも決めつけない。症状と検査を別々の情報として考えることがポイントです。

言い換えるなら、自覚症状は「今、自分が感じている情報」、健診や検査は「体の状態を別の角度から確認する情報」です。

どちらか一方だけで結論を出すのではなく、両方を合わせて考えることが、肝臓について判断するときの大切な視点になります。

お酒を飲まなくても肝臓は悪くなるの?

はい。肝臓の病気はアルコールだけで起こるわけではありません。

「肝臓が悪い」と聞くと、まずお酒を思い浮かべる方は多いかもしれません。

厚生労働省では、肝炎にはウイルス性、薬物性、アルコール性、自己免疫性など複数の原因があると説明しています。

さらに現在は、肥満や血糖、血圧、脂質などの代謝異常と関連する脂肪性肝疾患にも注目されています。

そのため、「お酒を飲まないから肝臓は大丈夫」と考えてしまうのも避けたいところです。

飲酒習慣はもちろん重要な確認項目ですが、それだけで肝臓の状態を判断することはできません。

これは、肝臓について考えるときの思い込みを一つ外してくれるポイントでもあります。

飲酒の有無だけで「自分は関係ある・関係ない」と分けるのではなく、健診結果や体重の変化、食生活、薬やサプリメントなども含めて見ていくほうが現実的です。

脂肪肝は「NAFLD」から「MASLD」へ分類が変わっている

脂肪性肝疾患と食事や体重など生活習慣との関係を示すイメージ
※画像はAIによるイメージ

脂肪肝について調べていると、「NAFLD」「NASH」「MASLD」「MASH」といった言葉が出てきて戸惑うかもしれません。

これは病名・分類の変更が進んでいるためです。

欧州肝臓学会、米国肝臓病学会、ラテンアメリカ肝疾患研究協会が2023年に新しい分類を提唱し、日本肝臓学会と日本消化器病学会も2023年9月29日に新しい病名・分類を採用することを発表しました。

さらに両学会は、2024年8月22日に日本語病名を公表しています。

現在使われる主な名称には、

  • SLD:脂肪性肝疾患
  • MASLD:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
  • MASH:代謝機能障害関連脂肪肝炎

などがあります。

従来「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれていた領域は、現在はMASLDなどを用いた新しい分類へ移行しています。

ここから分かるのは、「肝臓が悪くなるのはお酒をたくさん飲む人」というイメージだけでは不十分だということです。

お酒をほとんど飲まない方でも、健診で脂肪肝や肝機能異常を指摘されているなら、その結果は一度きちんと確認しておきたいところです。

また、「太っていないから関係ない」「お酒を飲まないから自分には無関係」と先に結論を出してしまうより、実際の健診結果を確認するほうが確実です。

肝臓については、イメージより検査で確認できる情報を優先する。これが大切だと思います。

名称が変わると、「以前調べたNAFLDとMASLDはまったく別の話なの?」と混乱しやすくなります。

過去の健診結果や説明で以前の名称を目にしていても、それだけで情報が間違っているという意味ではありません。病名や分類の変化があることを知っておくだけでも、肝臓について調べるときの迷いを減らせます。

疲労感が続くなら健康診断のどこを見る?

健康診断結果のAST・ALT・γ-GTを確認する場面
※画像はAIによるイメージ

肝臓が気になるときは、症状検索だけを続けるより、まず手元の健康診断結果でAST・ALT・γ-GTを確認してみましょう。

厚生労働省が示す特定健康診査の基本項目には、肝機能検査として次の3項目が含まれています。

  • AST(GOT)
  • ALT(GPT)
  • γ-GT(γ-GTP)

ただし、この3つの数字だけを見て「肝臓病だ」「問題ない」と自己診断することはできません。

ASTは肝臓以外の組織にも存在しますし、それぞれの検査値をどう読むかは、ほかの検査結果、症状、飲酒、服薬、体重や病歴などによって変わります。

ですから、見る目的は「自分で診断するため」ではありません。

健診で異常を指摘されていなかったかを確認し、必要ならその結果を医師に見せるためです。

以前の健診結果が手元に残っていれば、今回だけではなく過去の結果も一緒に確認してみるとよいでしょう。

数字を自分で細かく診断する必要はありませんが、「以前から指摘されていたのか」「今回初めて異常を指摘されたのか」といった経過は、相談するときの材料になります。

ここで私は、疲労感を次の「3方向」から見ると整理しやすいと考えています。

体調の変化+生活習慣+健康診断の数字。

疲れだけを凝視するより、この3つを並べたほうが「次に何をしたらいいのか」が見えやすくなります。

たとえば、

  • 体調の変化:食欲、吐き気、尿の色、黄疸、むくみ、発熱など
  • 生活習慣:飲酒量、食生活、体重変化、睡眠、薬やサプリメント
  • 健診の数字:AST、ALT、γ-GTなどの指摘

という具合です。

この3方向を一度に見ることで、「疲れているから、とりあえず肝臓用のサプリを飲もう」といった短絡的な判断からも少し距離を置けます。

AST・ALT・γ-GTは「数字の高さ当て」をするためのものではない

健診結果を見つけると、つい一つひとつの数字を検索したくなりますよね。

ただ、自分で基準値との差だけを見て原因を決めるより、「異常を指摘された事実」と「その後どうしたか」を確認することのほうが大切です。

たとえば以前にも指摘があったのにそのままになっているのか、今回初めて指摘されたのかでは、医療機関へ伝えられる情報が違ってきます。

過去の健診結果が何年分か残っているなら、一緒に持参できるようまとめておくのも一つの方法です。

疲労感についても「いつから」「毎日なのか」「ほかにどんな変化があるか」を簡単に整理しておけば、数字と症状を別々に考えずに相談しやすくなります。

疲労感と肝臓が気になるとき、生活で何から始める?

特別な「肝活」を探すより、飲酒、食事、体重、睡眠など普段の生活を見直すところから始めるのが現実的です。

たとえば飲酒量が増えていないか、食生活が偏っていないか、最近体重が大きく変化していないか。

さらに、寝不足が続いていないか、忙しさやストレスで生活リズムが乱れていないかも一緒に確認してみましょう。

疲労感には肝臓以外の要因も多いため、「肝臓だけをいたわれば解決する」と考えるより、体全体の生活条件を整えるほうが自然です。

一度に全部変える必要はありません。

  • 今日はお酒を控える
  • 夜遅い食事を少し軽くする
  • いつもより少し早く休む
  • 健診結果を取り出してみる

そんな一つからでも十分です。

疲れているときほど、あれもこれも改善しようとすると、それ自体が負担になってしまいます。

このサイトで大切にしたいのも、「完璧な健康生活」を目指すことではありません。今の自分にできそうな一つを選ぶことです。

一方、注意したいのが、疲れているからとサプリメントを次々に追加することです。

肝臓が気になるからといって、特定の食品やサプリメントだけで肝臓の状態を改善できるとは限りません。

服用している薬やサプリメントそのものが肝障害に関係する場合もありますので、「肝臓に良さそうだから多く取る」という考え方は避けたいところです。

気になるサプリメントや薬を使っていて肝機能異常を指摘された場合は、自己判断で増減・中止するのではなく、商品名や薬の名前を医師や薬剤師へ伝えてください。

「何かを足す」ことばかり考えず、まず今の生活と使っているものを整理してみる。これも立派なセルフケアです。

最初の一歩は「原因探し」より現状整理

疲れが続くと、「何を食べればいい?」「何を飲めばいい?」と解決策を探したくなるものです。

でも、肝臓が原因か分からない段階では、何かを新しく追加する前に、今の状態を書き出すほうが役立つ場合があります。

「いつから疲れているか」「睡眠はどうか」「飲酒量は変わったか」「食欲や尿の色はどうか」「薬やサプリメントは何を使っているか」「健診では何と言われたか」。

これなら特別な道具も必要ありません。

セルフケアの第一歩を「何かを買うこと」ではなく「自分の状態を整理すること」にする。個人的には、肝臓と疲労感についてはこの順番がとても大切だと考えています。

疲労感が抜けないとき、受診を考えたいサインは?

疲労感が長引く、または黄疸・濃い尿・強い食欲不振などを伴うなら、肝臓だけに原因を決めつけず医療機関で相談しましょう。

特に、

  • 白目や皮膚が黄色くなってきた
  • 尿が明らかに濃い茶色になった
  • 強い吐き気や食欲不振がある
  • むくみが目立つ
  • お腹の張りが強い
  • 強い倦怠感や発熱などがある
  • 健康診断で肝機能異常を指摘された

といった変化がある場合は、セルフケアだけで長く様子を見るより医療機関への相談を優先してください。

診察では症状や生活習慣、飲酒歴、服薬などを確認し、必要に応じて血液検査や画像検査などが検討されます。

受診するときは、「だるいです」だけでなく、いつ頃から始まったか、食欲や尿の色に変化があるか、飲酒や薬・サプリメントの状況、健診で指摘されたことがあるかを伝えられると、状況を整理しやすくなります。

肝臓は自覚症状だけでは状態を判断しづらいからこそ、「症状を当てる」より「必要なときに検査につなげる」ことが大切なのだと思います。

また、肝臓を心配して受診した結果、別の原因が見つかることも考えられます。

疲労感の原因を最初から一つに固定しないことは、肝臓以外の体調変化を見逃さないためにも大切です。

受診前にメモしておくと伝えやすいこと

疲れていると、診察室に入った途端に「何を話そうとしていたんだっけ」となってしまうこともあります。

そんなときは、受診前に次の内容を簡単にメモしておくと整理しやすくなります。

  • 疲労感が始まった時期
  • 食欲、吐き気、発熱などの有無
  • 白目や皮膚、尿の色の変化
  • むくみやお腹の張り
  • 最近の飲酒状況
  • 使用している薬やサプリメント
  • 健康診断で肝機能異常を指摘されたか
  • 過去にも同じ指摘があったか

全部を完璧に記録する必要はありません。

思い出せる範囲で整理して、健診結果があれば一緒に持っていく。それだけでも、「疲れ」という曖昧な感覚を具体的な情報として伝えやすくなります。

疲労感を「肝臓のせい」と決めつけないことが大切

ここまで調べてきて、私が疲労感と肝臓の関係でいちばん大切だと感じるのは、原因を一つに決めつけないことです。

だるさは肝疾患でもみられます。

でも、寝不足やストレス、貧血、感染症をはじめ、疲労感にはほかにも多くの原因があります。

逆に、肝臓は自覚症状が乏しいまま異常が見つかることもあります。

この二つは、一見すると正反対ですよね。

「症状があるから肝臓が悪いとは限らない」のに、「症状がないから肝臓が健康とも限らない」。

だからこそ、疲労感だけを手がかりに肝臓の状態を推測し続けるより、検査結果やほかの症状まで含めて判断することが重要です。

私は、

「体調の変化」「生活習慣」「健診の数字」の3方向から見る

という方法をおすすめしたいです。

最近、食欲は変わっていないか。

尿や皮膚、白目に変化はないか。

飲酒量や体重、食生活はどうか。

薬やサプリメントが増えていないか。

そして、健康診断のAST、ALT、γ-GTはどうだったか。

この3方向を一度確認してみると、「ただ疲れているだけなのか」「一度相談してみようか」の判断材料が増えます。

筆者として特に気をつけたいと感じるのは、インターネットで「肝臓 疲労感」と検索し続け、症状の一致だけで不安を大きくしてしまうことです。

検索は、自分の体を診断するためではなく、次にどんな情報を確認すればよいのかを整理するために使うくらいがちょうどいいと思います。

「なんとなくだるい」は、体から届いた小さなメモのようなものです。

必要以上に怖がる必要はありませんが、何週間も机の端に置きっぱなしにする必要もありません。まずは最近の体調と生活、健康診断の結果を一度並べて眺めてみませんか。

そのうえで気になる材料が重なっているなら、医療機関へ相談する。それが、遠回りに見えていちばん分かりやすい確認方法です。

「肝臓が疲れている?」を3段階で考える

疲労感について調べ始めると、原因を一度で突き止めたくなります。

でも実際には、①疲労以外の変化を見る、②生活習慣と健診結果を確認する、③必要なら医療機関につなげるという順番で整理するほうが分かりやすいでしょう。

最初から「肝臓病か、そうでないか」という二択にしなくてもいいのです。

疲労感だけでほかに目立つ変化がなければ、まず睡眠や生活リズムなども振り返る。黄疸や濃い尿、食欲低下などが重なれば、自己判断を続けず相談する。健診で異常を指摘されているなら、その結果も判断材料にする。

このように段階を分けると、必要以上に不安にならず、それでいて「ただの疲れだろう」と放置することも避けやすくなります。

私は、健康情報は「病名を当てるクイズ」にするより、次に何をすればいいのかを決める道しるべとして使うほうが役立つと考えています。

まとめ

疲労感や全身倦怠感は肝臓の病気でみられることがありますが、疲労感だけから「肝臓が原因」と判断することはできません。

確認したいのは、疲れに加えて黄疸、濃い尿、食欲不振、吐き気、むくみなどがないか、そして健康診断でAST・ALT・γ-GTなどの異常を指摘されていないかです。

また、肝臓の病気は飲酒だけが原因ではありません。日本肝臓学会と日本消化器病学会では脂肪性肝疾患の新しい分類を採用しており、代謝異常と関係するMASLDなども現在の重要な考え方になっています。

体調の変化+生活習慣+健診の数字。

まずはこの3方向から見てみましょう。

疲労感だけなら肝臓に原因を決めつけず、睡眠や生活リズムなども振り返る。一方で、黄疸や濃い尿、強い食欲不振などが重なる、あるいは健診で肝機能異常を指摘されているなら、自己診断で抱え込まず医療機関へ相談する。

まずは一つ、健康診断の結果を手元に出してみるところからでも十分です。

「肝臓に良いことを全部始めよう」と頑張る必要はありません。

今の自分の状態を一度確認して、必要な一歩だけ選ぶ。疲労感が続いているときこそ、そのくらいシンプルに考えてみてください。

よくある質問

肝臓が悪いと疲労感やだるさが出ますか?

肝炎などの肝疾患では、全身倦怠感や食欲不振などがみられることがあります。

ただし、疲労感だけでは肝臓病かどうかを判断できません。ほかの症状や健康診断の結果と合わせて考えることが大切です。

肝臓が悪いと寝ても疲れが取れなくなりますか?

肝疾患でだるさや倦怠感がみられることはありますが、「寝ても疲れが取れない」という症状だけで肝臓が原因とは判断できません。

睡眠不足やストレスなど、ほかの原因も考えられるため、疲労の続く期間やほかの体調変化、健診結果を含めて確認しましょう。

肝臓が悪いと朝からだるくなるのでしょうか?

朝からのだるさだけでは、肝臓が原因かどうかを見分けられません。

「朝から疲れている」という時間帯だけで判断せず、食欲、吐き気、尿の色、黄疸、むくみなどの変化や、健康診断の結果も一緒に確認することが大切です。

お酒を飲まなくても肝臓が悪くなることはありますか?

あります。肝疾患にはウイルス、薬物、自己免疫などさまざまな原因があり、脂肪性肝疾患もアルコールだけで説明できるものではありません。

現在は、代謝異常と関連するMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)という分類も使われています。

健康診断では肝臓のどの数値を見ればいいですか?

厚生労働省の特定健康診査では、肝機能検査としてAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)が基本項目に含まれています。

ただし、検査値だけで病気を自己診断することはできません。異常を指摘された場合や疲労感などの症状が続く場合は、健診結果を持って医療機関で相談してください。

肝臓が気になるとき、過去の健康診断も確認したほうがいいですか?

手元に残っているなら、今回の結果だけでなく過去の結果も確認しておくとよいでしょう。

数値を自分で診断するためではなく、「以前にも肝機能異常を指摘されていたか」「今回初めてなのか」という経過を確認する材料になります。

肝臓が悪くても症状がないことはありますか?

あります。肝臓は異常があっても自覚症状が目立たないことがあり、「沈黙の臓器」と呼ばれています。

そのため、症状がないことだけで問題がないとは判断せず、健康診断や必要な検査を活用することが大切です。

疲労感と濃い尿が同時にある場合はどうすればいいですか?

濃い尿は肝臓だけに起こる変化ではありませんが、疲労感に加えて黄疸、食欲不振、吐き気など複数の変化が重なっている場合は、「ただの疲れ」と自己判断せず医療機関へ相談してください。

症状がいつから始まったのかも一緒に伝えられるようにしておくと、状況を整理しやすくなります。

肝臓が気になるときはサプリメントを飲んだほうがいいですか?

「肝臓によさそう」という理由だけでサプリメントを増やすのはおすすめできません。

薬やサプリメントが肝障害に関係する場合もあるため、肝機能異常を指摘されている場合は、使用している商品や薬の名前を医師や薬剤師に伝えて相談してください。

疲労感があるとき、まず何を確認すればいいですか?

まずは「体調の変化」「生活習慣」「健診の数字」の3方向から確認してみましょう。

食欲や尿の色などに変化がないか、睡眠・飲酒・食生活・体重・薬やサプリメントに変化がないか、そして健診でAST・ALT・γ-GTなどを指摘されていないかを整理すると、次の行動を決めやすくなります。

参考

  • 厚生労働省「知って、肝炎プロジェクト」
  • 国立健康危機管理研究機構 肝炎情報センター
  • 厚生労働省「特定健康診査」
  • 日本肝臓学会・日本消化器病学会「脂肪性肝疾患の新しい病名・分類」
  • 欧州肝臓学会・米国肝臓病学会・ラテンアメリカ肝疾患研究協会による脂肪性肝疾患の新分類
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