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疲れと睡眠は深く関係しています。成人では6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保しつつ、規則性・休養感・日中の状態まで確認することが大切です。
「寝たはずなのに疲れている」という場合も、単純に睡眠時間だけで判断するのではなく、眠り方や生活リズム、日中の疲労の積み重なりまで含めて考える必要があります。
疲れと睡眠の関係とは?眠っている間に心身を休ませる
睡眠は、日中に働き続けた脳と体を休ませ、翌日の活動に備えるための大切な時間です。
仕事や家事だけでなく、考えごと、緊張、情報処理、長時間の集中などでも疲れは積み重なります。そのため「今日はあまり体を動かしていないのに疲れた」ということも珍しくありません。
睡眠には、ノンレム睡眠とレム睡眠があります。
ノンレム睡眠では脳の活動が低下する時間があり、深い睡眠も含まれます。一方、レム睡眠では脳の活動が比較的高い状態がみられ、夢を見ることもあります。
ただし、「ノンレム睡眠は脳を休ませるもの」「レム睡眠は体を休ませるもの」と単純に二分できるわけではありません。
私たちの睡眠は、性質の異なる眠りを繰り返しながら成り立っています。どちらか一方だけではなく、一晩を通した睡眠全体を考えることが大切です。

ここで覚えておきたいのが、「布団に入っていた時間」と「実際に眠れていた時間」は必ずしも同じではないことです。
たとえば8時間ベッドにいても途中で何度も目が覚めていたり、なかなか寝つけなかったりすれば、本人が感じる休養感は変わってきます。
ですから疲れと睡眠を考えるときは、何時間寝たかだけでなく、起きたときに休めた感覚があるかまで見るのが一つのポイントです。
疲労回復には何時間眠ればいい?成人は6時間以上が一つの目安
成人では、まず6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが示されています。
ただし、「6時間寝れば誰でも十分」という意味ではありません。必要な睡眠時間には個人差があり、年齢や生活状況によっても変わります。
示されている夜間の睡眠時間の目安を見ると、
- 15歳では約8時間
- 25歳では約7時間
- 45歳では約6.5時間
- 65歳では約6時間
と、年齢とともに実際に眠れる時間が少しずつ短くなる傾向があります。
20年ごとにおよそ30分程度短くなる傾向があり、さらに季節によっても変化し、夏より冬のほうが10〜40分ほど長くなる傾向が示されています。

つまり、「健康のためには絶対8時間」と一つの数字だけを目標にすると、かえって自分の状態を見失うことがあります。
成人では6時間以上を一つの目安にしながら、実際には朝の休養感や日中の眠気、集中力なども合わせて見るほうが、自分に必要な睡眠を判断しやすくなります。
睡眠時間が短い状態が続けば、必要な睡眠を十分確保できない人では睡眠不足が積み重なる可能性があります。
ただし「6時間未満なら全員が睡眠不足」と一律には言えません。大切なのは時間だけで線を引くことではなく、自分の日中の状態まで確認することです。
寝ても疲れがとれないのはなぜ?睡眠時間以外も確認する
十分寝ているつもりなのに疲れが残る場合は、睡眠時間以外の部分に目を向ける必要があります。
実際、令和5年の国民健康・栄養調査では、睡眠で休養がとれていると感じている人は74.9%でした。
逆に考えれば、睡眠時間を確保するだけでは「十分休めた」と感じられない人もいるということです。
「7時間寝たから大丈夫」と時計だけを見てしまうと、こうした状態を見落とすことがあります。
たとえば、
- 朝起きても疲れた感じが強い
- 日中の眠気が強い
- 集中力が長く続かない
- 前日の疲れが翌日まで残る
- 生活リズムが日によって大きく変わる
といった状態が続くなら、睡眠時間だけでなく眠り方全体を確認してみましょう。

疲労そのものの仕組みについては、まだ分かっていない部分もあります。
活動に伴う体内の変化や、それに対する回復の仕組みなど、さまざまな要素が関係すると考えられています。そのため「疲労は一つの物質がたまるから起きる」といった単純な説明だけで捉えないほうがよいでしょう。
私がここで特に大切だと思うのは、疲労感と眠気を同じものとして扱わないことです。
「眠くないから疲れていない」とは限りませんし、「疲れたから長時間寝れば解決する」とも限りません。
首や肩が重い、考えがまとまりにくい、いつもの作業に時間がかかるなど、「普段と違う」が続いていないかを見ることも、自分の疲れを知る手がかりになります。
睡眠の質を高めるには?寝る前だけでなく一日の過ごし方を整える
睡眠を整えたいときは、夜になってから急に何かを始めるより、日中から眠りやすい流れをつくることがポイントです。
運動、光、室温、音、入浴、寝具など、睡眠に関係する要素はいくつもあります。
日中の身体活動では、健康づくりの目安として1日60分程度が示されています。
とはいえ、普段ほとんど運動していない人が、いきなり60分の運動を始める必要はありません。まずはいつもより10分多く歩くなど、続けられるところから始めるほうが現実的です。
夜になったら、寝室の光・温度・音も確認してみましょう。
寝る直前まで強い光に囲まれるより、夜は少しずつ明るさを抑え、暑すぎず寒すぎない環境をつくります。静かに休める環境かどうかも大切です。
入浴では、就寝1〜2時間前に40℃前後のお湯へ10〜15分程度入る方法が紹介されています。
入浴によって上がった体温がその後下がっていく流れは、眠りに入りやすい状態をつくる方法の一つとして考えられています。

寝具についても、高価なものをそろえればよいわけではありません。
マットレスや敷き布団の硬さ、掛け布団の保温性や吸湿性、枕の高さなど、自分が無理なく休める状態になっているかを確認してみましょう。
ここで全部を変えようとすると、セルフケアそのものが負担になってしまいます。
今夜なら「寝る前の照明を少し暗くする」、明日なら「いつもより10分歩く」。まずは一つで十分です。
疲れと睡眠は「時間・規則性・休養感・日中機能」の4つで確認する
ここからは、資料の内容を踏まえて私なりに整理してみます。
疲れが抜けないと感じたとき、私は睡眠を「時間→規則性→休養感→日中機能」の4つの順番で確認すると分かりやすいと考えています。

まず「時間」です。
成人であれば6時間以上を一つの目安として、そもそも睡眠時間を確保できているかを確認します。毎日5時間程度しか眠れない生活なら、まず環境よりも睡眠時間そのものを見直す余地があります。
次に「規則性」です。
平日は睡眠時間が短く、休日だけ大幅に寝る生活では、一週間を通した睡眠の状態が分かりにくくなります。
休日にたくさん眠れたからといって、それだけで平日の睡眠が十分だったとは判断できません。休日と平日の差も含めて一週間単位で眺めるほうが、自分の睡眠パターンに気づきやすくなります。
3つ目が「休養感」です。
時間としては眠れていても、「朝から疲れている」「眠った感じがしない」という状態が続くなら、時間だけを見て終わらないことが大切です。
最後が「日中機能」です。
仕事や家事の途中で強い眠気が出る、注意力が続かない、以前より作業効率が落ちているなど、起きている時間の状態も睡眠を考える重要な材料になります。
私はこの4つを見ることに意味があると思っています。
なぜなら、睡眠の目的は「○時間という数字を達成すること」ではなく、翌日を少しでも楽に過ごせる状態につなげることだからです。
疲れが続くときは睡眠だけの問題と決めつけない
疲れと睡眠には強い関係がありますが、すべての疲労感を睡眠だけで説明できるわけではありません。
食事や活動量、仕事の負荷、生活リズムなども関係します。
疲労回復には食事からエネルギーや栄養素をとることも必要で、糖質・脂質・タンパク質を利用する過程ではビタミンB群なども関わっています。
ただし、「この食品を食べれば疲れがとれる」と考える必要はありません。
この記事で優先したいのは特定の栄養素を追いかけることではなく、まず必要な睡眠を確保できているか、休めた感覚があるかを確認することです。
睡眠時間を見直し、生活リズムや寝室環境を整えても強い疲労感が長く続く場合は、「もっと寝ればいい」と我慢し続けないことも大切です。
疲れの背景には睡眠以外の要因が隠れている場合もあるため、気になる状態が続くときは医療機関へ相談することも選択肢になります。
まとめ
疲れと睡眠を考えるときは、「何時間寝たか」だけで判断しないことが大切です。
成人では6時間以上を一つの目安に必要な睡眠時間を確保しながら、生活リズム、朝の休養感、日中の眠気や集中力まで確認してみましょう。
「時間→規則性→休養感→日中機能」の順に見ると、自分がどこから見直せばよいのか整理しやすくなります。
運動、入浴、照明、室温、音、寝具など改善できるところはいくつもありますが、一度に全部変える必要はありません。
まずは一つだけ試してみませんか?
今夜10分早く休む。寝る前の照明を少し暗くする。朝起きたときの疲労感を確認する。
そんな小さな一歩からでも、疲れと睡眠の関係を見直すきっかけになります。
よくある質問
6時間眠れば疲労回復には十分ですか?
成人では6時間以上が一つの目安ですが、必要な睡眠時間には個人差があります。
6時間という数字だけで判断せず、朝に休めた感覚があるか、日中に強い眠気がないか、集中力が保てているかまで確認しましょう。
7〜8時間寝ても疲れがとれないのはなぜですか?
睡眠時間が確保できていても、睡眠の規則性や休養感、生活環境などによって疲労感が残ることがあります。
「長く寝たのだから問題ない」と決めつけず、朝の状態と日中の眠気・集中力を合わせて確認することが大切です。疲れが長く続く場合は睡眠以外の原因も考え、必要に応じて医療機関へ相談してください。
昼寝は疲労回復に役立ちますか?
短い昼寝は、日中の眠気を和らげたり集中力の回復につながったりする可能性があります。
昼食後から午後3時ごろまでに30分程度を目安にする方法が紹介されていますが、昼寝だけで夜の睡眠不足を補おうとせず、基本は夜間の睡眠を整えることを優先しましょう。
参考
- 「意外と知らない、疲れがとれない理由|がんばるあなたに。疲れの情報局|アリナミン」
- 渡辺恭良ほか「おもしろサイエンス 疲労と回復の科学」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」
- 厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要」
- 厚生労働省「睡眠とストレスの関係」
- 厚生労働省「快眠と生活習慣」
- 「気づかないうちに溜まる疲労…身体が出しているサインとは」
- 「睡眠で疲労回復できる理由」
- 林光緒「昼寝の功罪とパワーナップ」
