季節の変わり目の片頭痛・偏頭痛はなぜ起こる?気圧・気温との関係と対処法

季節の変わり目に窓辺で頭を押さえる人物と雨空

季節の変わり目の片頭痛は、気圧や気温、湿度の変化がきっかけで悪化する場合があります。ただし、天気だけが原因とは限りません。

「雨が降る前に頭がズキズキする」「春や秋になると頭痛が増える」という方は、気象変化だけでなく、睡眠不足やストレス、生活リズムの変化にも目を向けてみましょう。

なお、一般には「偏頭痛」と検索されることもありますが、医学的な標準表記は「片頭痛」です。

この記事では、季節の変わり目に片頭痛が起こりやすい理由、気圧と内耳・自律神経の関係、片頭痛と緊張型頭痛の違い、日常でできる対処法を分かりやすく整理します。

目次

季節の変わり目に片頭痛が起こりやすいのはなぜ?

低気圧や台風で変化する空模様と頭痛を感じる人物
※画像はAIによるイメージ

台風や低気圧、気温・湿度などの気象変化は、一部の片頭痛を悪化させるきっかけになると考えられています。

ただし、すべての片頭痛が天気によって起こるわけではありません。

日本頭痛学会の「頭痛の診療ガイドライン2021」でも、一部の片頭痛患者では、台風や低気圧、湿度などの気象変化によって頭痛が悪化する場合があるとされています。

つまり、「低気圧だから必ず片頭痛になる」というわけではないのです。

気象変化は、人によって影響の大きさが異なる増悪因子のひとつとして捉えると分かりやすいでしょう。

春・梅雨・秋に頭痛が気になりやすい理由

季節の変わり目は、気象条件が短期間で変化しやすい時期です。

春から梅雨にかけては気温や気圧の変動が大きくなり、夏から秋にかけては台風や秋雨前線の影響を受けやすくなります。

特に次のような変化が重なることがあります。

  • 春:寒暖差が大きく、生活環境も変わりやすい
  • 梅雨:雨や湿度の高い日が続き、気圧も変化する
  • 夏:暑さによる睡眠不足や水分不足が起こりやすい
  • 秋:台風や秋雨前線によって天候が変わりやすい
  • 冬:寒さや室内外の温度差が体への負担になることがある

もちろん、これらの条件が直接すべての片頭痛を引き起こすわけではありません。

例えば、同じ台風が近づいていても、頭痛が起こる人と起こらない人がいます。

同じ人でも、前日は頭痛があったのに、翌日は何ともないこともあるでしょう。

その違いを考えるうえで、睡眠や疲労、ストレスなどの生活条件が重要になります。

雨が降る前に頭痛がするのは「天気痛」?

天候の変化によって、もともと持っている痛みなどの症状が悪化する状態は、一般に「天気痛」と呼ばれています。

天気痛で話題になる症状は、頭痛だけではありません。

めまい、肩こり、首の痛み、腰痛、眠気、耳の違和感など、感じ方には個人差があります。

ただし、天気痛は特定の一つの病気を意味する診断名ではなく、気象変化に関連する不調を説明する際に使われる言葉です。

片頭痛がある人にとって、気象変化が発作のきっかけになる場合もあれば、別の頭痛や体調不良が関係している場合もあります。

私がここで大事だと感じるのは、天気を「犯人」にするのではなく、自分にとっての条件のひとつとして観察することです。

天気そのものは変えられません。

それでも、自分が調子を崩しやすいタイミングが分かれば、予定や休息の取り方を考える材料にはできます。

気圧変化と内耳・自律神経にはどんな関係がある?

耳の奥の内耳と気圧変化の関係を示すイメージ
※画像はAIによるイメージ

気圧変化と体調不良の関係では、耳の奥にある「内耳」が関与する可能性が指摘されています。

ただし、気圧が変化すると必ず自律神経が乱れ、片頭痛が起こるという仕組みが確立しているわけではありません。

内耳は気圧変化とどう関係する?

内耳は、耳の奥にある器官です。

音を感じる働きだけでなく、体の傾きや動きなどを感じ取り、バランスを保つ役割にも関わっています。

天気痛については、気圧の変化を内耳が感知し、その刺激が自律神経などに影響するという仕組みが考えられています。

自律神経とは、呼吸や心拍、血圧など、意識しなくても働く体の機能を調整している神経のことです。

気象変化に敏感な人では、こうした仕組みが体調の変化に関係する可能性があります。

しかし、片頭痛の発生には脳の神経活動や痛みの伝わり方など、複数の仕組みが関わっています。

そのため、「低気圧を内耳が感知する=片頭痛が起こる」と単純に説明することはできません。

睡眠不足やストレス、生活リズムなど、ほかの条件が重なって頭痛が起こる場合もあります。

片頭痛と緊張型頭痛はどう違う?

季節の変わり目に起こる頭痛が、すべて片頭痛とは限りません。

代表的な頭痛には、片頭痛と緊張型頭痛があります。

比較項目 片頭痛 緊張型頭痛
痛みの特徴 ズキズキと脈打つような痛みが多い 締め付けられるような重い痛みが多い
痛む場所 頭の片側または両側 頭の両側に起こることが多い
体を動かしたとき 日常動作で悪化することがある 通常の動作では悪化しにくい
吐き気 伴うことがある 通常は伴わない
光や音への敏感さ みられることがある 片方だけ気になる場合などがある
対処の考え方 刺激を減らして休む、冷やす 温める、軽く体を動かすなど

片頭痛という名前から、頭の片側だけが痛むものだと思われがちですが、両側に痛みが出ることもあります。

また、ズキズキしない片頭痛もあるため、痛み方だけで判断することはできません。

一方、緊張型頭痛は、頭や首、肩などの筋肉の緊張が関係する場合があります。

片頭痛と緊張型頭痛では、適した対処が異なることがあるという点を覚えておきましょう。

特に、片頭痛の発作中に無理に運動したり、温めたりすると、痛みが強くなる場合があります。

「季節の変わり目だから、いつもの頭痛だろう」と決めつけず、症状の特徴を確認することが大切です。

季節別の頭痛データから分かること

キジマ あたまのクリニックが2019年4月4日に公開した「季節による頭痛頻度」では、2011~2017年の金沢気象台のデータを参考に、同クリニックを受診した頭痛患者について季節別の受診者数を調べています。

季節は次のように分類されています。

  • 春:3~5月
  • 夏:6~8月
  • 秋:9~11月
  • 冬:12~2月

この比較では、片頭痛の受診者数は夏に多く、冬に少ない傾向がみられました。

一方、緊張型頭痛の受診者数は春に多かったとされています。

ここで注意したいのが、数字の意味です。

この結果は、単一のクリニックを受診した患者の季節別データです。

日本人全体の片頭痛発症率が夏に高くなることを証明した疫学調査ではありません。

受診者数には、症状の発生だけでなく、患者が医療機関を受診するタイミングなども影響する可能性があります。

私は、この違いを押さえておくことが、健康情報を正しく読み取るうえで大切だと考えています。

春の頭痛には生活環境の変化も関係する?

緊張型頭痛の受診者数が春に多かった点については、進学や就職など、新しい環境による影響の可能性も指摘されています。

春は、気温の変化だけでなく、生活そのものが変わりやすい季節です。

新しい職場や学校、通勤時間の変化、人間関係など、知らず知らずのうちに緊張が続くこともあります。

例えば、同じ春の頭痛でも、寒暖差が大きかった日だけでなく、忙しい仕事が続いた週末に痛くなる人もいるでしょう。

気象条件だけを見るのではなく、季節によって変わる生活環境やストレスまで含めて考えることが重要です。

季節の変わり目の片頭痛は40代女性に多い?

天気痛外来を受診する人には女性や40代が多いという紹介がありますが、その数字を一般人口全体に当てはめることはできません。

大正製薬のコラムでは、天気痛外来を受診する患者について、およそ3分の2が女性で、そのなかでは40代が最も多いと紹介されています。

女性には片頭痛を持つ人が多く、女性ホルモンの変動も片頭痛に関係すると考えられています。

更年期には、頭痛や肩こりなど、天候による不調と重なりやすい症状を感じる人もいます。

ただし、この数字だけを見て「40代女性は季節の変わり目に片頭痛になりやすい」と一般化するのは適切ではありません。

天気痛外来を受診した人の特徴と、一般人口全体での片頭痛の発生頻度は別のものだからです。

また、男性や若い世代、高齢者にも片頭痛は起こります。

年齢や性別だけで判断するより、自分の症状がどのような条件で起こるのかを見ることが、実際の対策につながります。

片頭痛と女性ホルモンの関係

女性の場合、月経周期によって片頭痛の起こりやすさが変わることがあります。

特に、月経前後の女性ホルモンの変動が片頭痛に関係する場合があります。

更年期にはホルモンの変動が不規則になるため、頭痛の頻度や程度が変化する人もいます。

ただし、更年期だから必ず片頭痛が増えるわけではありません。

人によっては症状が軽くなる場合もあり、経過には個人差があります。

例えば、雨の日に頭痛が起こりやすいと感じていても、記録してみると月経前後と重なっていることが分かるかもしれません。

このように、気象変化と体の変化を別々に考えるのではなく、重なり方を確認すると、自分の傾向が見えてくることがあります。

片頭痛の「痛み日記」は何を記録すればいい?

そこで役立つのが「痛み日記」です。

大正製薬のコラムでは、約1カ月を目安に、次の6項目を記録する方法が紹介されています。

天気や気圧と頭痛の強さや睡眠を記録する痛み日記
※画像はAIによるイメージ
  • 天気
  • 気圧
  • 体調の変化
  • 痛みの強さ
  • 運動
  • 睡眠

女性の場合は生理周期、必要に応じてストレスの有無なども加えると、体調との関係を振り返りやすくなります。

さらに、季節の変わり目の頭痛を調べたい場合は、気温差も記録しておくとよいでしょう。

朝晩の寒暖差や、前日との気温差が大きかった日を振り返る材料になります。

記録を細かくしすぎると続かなくなるため、最初は自分が気になる項目から始めて構いません。

頭痛がなかった日も記録するのがポイント

ここで一つ加えたいのが、「頭痛がなかった日」も記録することです。

例えば、同じ雨の日でも、よく眠れた日は頭痛がなく、睡眠不足の日には痛くなったとします。

そうすると、「雨だけ」では説明できない自分なりのパターンが見えてきます。

これは意外と大切なことです。

痛かった日だけを集めると、「やっぱり雨の日は痛い」と考えやすくなります。

しかし、痛くなかった日も比較すれば、睡眠やストレスなど、別の条件にも目を向けられます。

具体的には、次のような記録でも十分です。

日にち 天気 睡眠 頭痛の強さ
1日目 雨 5時間 7/10
2日目 雨 8時間 0/10
3日目 晴れ 6時間 3/10
4日目 曇り 7時間 0/10

※上記は記録方法を説明するための架空の例です。

この例では、雨の日でも頭痛がない日があります。

ただし、4日間の記録だけで睡眠不足が原因だと断定することはできません。

大切なのは、こうした記録を少しずつ積み重ね、同じような傾向が繰り返されるかを確認することです。

天気予報を見て「明日は頭痛が起こるかもしれない」と不安になるより、実際にどのような日だったのかを振り返るほうが、自分に合った対策を考えやすくなると私は思います。

季節の変わり目に片頭痛が起きたらどう対処する?

光と音を避けた静かな部屋で頭を冷やして休む人物
※画像はAIによるイメージ

片頭痛の発作時は、光や音などの刺激を減らして静かに休み、無理に活動しないことが基本です。

一方、発作が起きていない普段の生活では、睡眠や食事、運動などの生活リズムを整えることが体調管理の土台になります。

この2つは分けて考えると分かりやすいでしょう。

片頭痛が起きたときの対処法

片頭痛では、光や音を不快に感じることがあります。

そのため、可能であれば静かで暗めの場所で休み、刺激を減らすことが役立ちます。

また、痛む部分を冷やす方法も紹介されています。

例えば、冷たいタオルやタオルで包んだ保冷剤などを、心地よいと感じる範囲で当てる方法があります。

直接氷を長時間当てることは避け、冷やしすぎにも注意しましょう。

一方、温めたり激しく体を動かしたりすると、片頭痛では痛みが強くなる場合があります。

ここで注意したいのは、これを「頭痛なら必ず冷やす」と覚えないことです。

緊張型頭痛では、温めたり軽く体を動かしたりする方法が、痛みの軽減につながる場合があります。

頭痛の種類によって適した対処が異なるため、痛み方だけで自己診断しすぎないことも大切です。

片頭痛にコーヒーは効果がある?

元の資料では、片頭痛の痛み始めにコーヒー1~2杯を飲む方法も紹介されています。

カフェインには、頭痛に関連する痛みを和らげる働きが期待される場合があります。

実際に、一部の頭痛薬にはカフェインが配合されています。

ただし、カフェインを摂れば誰でも片頭痛が軽くなるというわけではありません。

普段の摂取量や体質によっては、動悸や不眠などが気になることもあります。

また、カフェインを日常的に多く摂っている人では、急に摂取をやめた際に頭痛が起こることもあります。

片頭痛対策としてコーヒーを無理に飲む必要はありません。

特に夕方以降は、カフェインが睡眠に影響する可能性もあるため、翌日の体調まで含めて考えたいところです。

鎮痛薬を使うときの注意点

頭痛がつらいときには、市販の鎮痛薬を使用する人もいるでしょう。

ただし、鎮痛薬は用法・用量を守ることが前提です。

頭痛薬を頻繁に使用していると、薬の使いすぎが頭痛を悪化させる「薬剤の使用過多による頭痛」につながる場合があります。

薬を使う回数が増えている、薬がないと日常生活を送りにくいという場合には、「いつもの頭痛だから」と繰り返し自己判断しないことが大切です。

頭痛の頻度や使用している薬を記録し、医療機関で相談しましょう。

片頭痛には、発作時に使用する薬だけでなく、発作の頻度を減らすことを目的とした予防治療もあります。

日常生活への影響が大きい場合は、我慢を続けるより、治療の選択肢について相談することも大切です。

季節の変わり目に意識したい生活習慣

発作がない普段の生活では、生活リズムを整えることが体調管理の土台になります。

特に意識したいのは、次のような習慣です。

  • 朝起きたら太陽の光を浴びる
  • 朝食をとる
  • 日中にウォーキングなどで適度に体を動かす
  • 起床・就寝時間をなるべく一定にする
  • 必要な睡眠時間を確保する
  • 普段は入浴などでリラックスする
  • 食事を抜かず、規則的にとる
  • 暑い日は水分不足に気をつける
  • 気温に合わせて衣服や室温を調整する

どれも特別な健康法ではありません。

それでも、忙しい毎日のなかでは意外と難しいものです。

例えば、平日は睡眠不足が続き、休日に長時間眠るという生活を繰り返している場合、睡眠リズムの変化が頭痛に関係している可能性があります。

また、暑い時期は汗をかく量が増え、水分不足が頭痛に関係する場合もあります。

無理に大量の水を飲む必要はありませんが、気温や活動量に応じて適切に水分を補給しましょう。

大切なのは、完璧な生活を目指すことではなく、毎日の体調を大きく揺らさない習慣を少しずつ増やすことです。

耳を温めるセルフケアは役立つ?

耳の周辺については、普段のセルフケアとして、耳の後ろにある「完骨」周辺へホットタオルを当てたり、軽くマッサージしたりする方法も紹介されています。

温かいタオルを使う場合は、熱すぎない温度に調整し、心地よい範囲で行いましょう。

耳や首に痛み、炎症などがある場合は無理に刺激しないでください。

また、耳周辺を温めたりマッサージしたりすることで、片頭痛そのものを予防・治療できると十分に確立されているわけではありません。

あくまでリラックスを目的とした補助的なセルフケアとして考えるのが適切です。

ここでも、発作時の片頭痛対策と、普段のセルフケアは分けて考えましょう。

いくつもの健康法を一度に始める必要はありません。

季節の変わり目になるたび頭痛が気になるなら、まずは天気・頭痛の強さ・睡眠の3項目だけ記録してみる。

改善の第一歩としては、それくらい小さなスタートでも十分だと私は考えています。

天気予報を見て事前にできること

気圧や天気の変化が自分の頭痛と関係していると感じる場合は、天気予報を生活管理の参考にする方法もあります。

例えば、台風が近づく時期や気温差が大きい日は、次のようなことを意識してみましょう。

  • 前日はできるだけ睡眠時間を確保する
  • 食事を抜かないようにする
  • 忙しい予定を詰め込みすぎない
  • 外出時は必要な薬や飲み物を準備する
  • 頭痛が起きたときに休める環境を考えておく

ただし、気圧の予報だけで片頭痛の発生を正確に予測できるわけではありません。

天気予報を見るたびに不安になるのであれば、無理に細かく確認する必要もないでしょう。

私は、天気予報は「頭痛が起きることを決めるもの」ではなく、自分を少し楽にするための準備に使うものだと考えています。

どんな頭痛なら病院へ?緊急性の高い症状との違い

突然の激しい頭痛や手足の麻痺などを伴う場合は、季節の変わり目だからと様子を見ず、緊急の医療対応が必要です。

頭痛には、片頭痛や緊張型頭痛などの「一次性頭痛」と、別の病気によって起こる「二次性頭痛」があります。

一次性頭痛は、頭痛そのものが主な病気です。

一方、二次性頭痛では、くも膜下出血や脳腫瘍など、重大な病気が背景にある場合もあります。

すぐに受診したい危険な頭痛の特徴

特に注意したいのは、次のようなケースです。

  • 突然起こった、これまで経験したことのない激しい頭痛
  • 手足のしびれや動かしづらさを伴う
  • けいれんを伴う
  • 激しい嘔吐を伴う
  • 高熱など、頭痛以外にも強い症状がある
  • 意識がもうろうとする
  • 言葉が出にくい、ろれつが回らない
  • 首が硬くなり、強い痛みを伴う

特に、突然の激しい頭痛や、片側の手足の麻痺、意識障害などがある場合は、119番で救急車を呼ぶことも含め、直ちに医療対応を受けてください。

「いつもの片頭痛だろう」「台風が来ているから仕方ない」と考えて、受診を遅らせないことが大切です。

繰り返す頭痛は何科を受診すればいい?

緊急症状がなくても、次のような場合は医療機関への相談を検討しましょう。

  • 頭痛で仕事や日常生活に支障が出ている
  • 頭痛を何度も繰り返している
  • 以前より頭痛が強くなっている
  • 頭痛の頻度が増えている
  • 鎮痛薬を使う回数が増えている
  • 今までとは違う痛み方をする

頭痛を詳しく診る診療科には、脳神経内科・脳神経外科・ペインクリニックのほか、頭痛を専門的に扱う頭痛外来があります。

受診するときには、いつ始まったか、どんな痛みか、どこが痛むか、何をすると悪化・軽減するか、ほかにどんな症状があるかを整理しておくと伝えやすくなります。

ここでも痛み日記が役立ちます。

記録はセルフケアのためだけではありません。

医師に症状の経過を具体的に伝えるための材料にもなるからです。

頭痛のある日だけでなく、頭痛がない日や薬を使用した日も記録しておくと、診察時に状況を説明しやすくなります。

季節の変わり目の片頭痛とどう付き合う?考察とまとめ

季節の変わり目の片頭痛について資料を見比べると、私が重要だと感じるのは、「天気が原因」と一本化しないことです。

診療ガイドラインでも、気象変化はすべての片頭痛患者に共通する原因ではなく、一部の人で症状を悪化させる要因として捉えるのが自然です。

さらに、2011~2017年の季節別データも、一つのクリニックを受診した患者の集計です。

「夏は日本人全体の片頭痛発症率が高い」と読み替えるのではなく、季節によって受診者数に違いがみられた一例として扱うほうが、データとの付き合い方としては慎重でしょう。

同じように、「天気痛外来では女性がおよそ3分の2で40代が最多」という情報も、一般人口すべてにそのまま当てはめる数字ではありません。

こうして見ていくと、季節の変わり目の片頭痛で本当に役立つのは、天気予報だけを見ることではなく、「気象+自分の生活」をセットで見ることではないでしょうか。

例えば「雨だった」という記録だけでなく、「睡眠5時間だった」「忙しい日だった」「頭痛はなかった」といった情報を並べれば、自分にとって何が重なった日に調子を崩しやすいのかを考えやすくなります。

変えられないものと、変えられるものを分ける

私が健康情報を調べるときに大切にしているのが、変えられない条件と、自分で調整できる条件を分けて考えることです。

季節や天気、気圧の変化を自分の力で止めることはできません。

しかし、睡眠時間を確保することや、食事を抜かないこと、無理な予定を減らすことなど、調整できる部分もあります。

例えば、雨の日に頭痛が起こりやすいと分かったとしても、雨を避けて生活することは現実的ではありません。

それよりも、雨の日に睡眠不足が重なると頭痛が起こりやすいのであれば、前日の夜更かしを減らすことから始められます。

もちろん、それで必ず頭痛を防げるわけではありません。

それでも、何もできないと感じていた状態から、自分で試せることが一つ見つかるのは大きな違いだと思います。

頭痛をゼロにすることだけが目標ではない

片頭痛があると、どうしても「頭痛をなくしたい」と考えたくなります。

もちろん、痛みが軽くなり、発作の回数が減ることは大切です。

ただ、日常生活のなかでは、頭痛によって失われる時間や負担を少し減らすことにも意味があります。

例えば、頭痛が起こる前に無理な予定を調整できたり、発作が起きたときに適切に休めたりするだけでも、生活のしやすさは変わってくるでしょう。

頭痛が頻繁に起こる場合には、医療機関で適切な治療を受けることも、暮らしを楽にするための選択肢です。

私は、セルフケアと医療は対立するものではなく、必要に応じて組み合わせていくものだと考えています。

季節の変わり目の片頭痛で覚えておきたい3つの場面

天候との関連を知ることと、すべての頭痛を天候のせいにすることは別です。

片頭痛と緊張型頭痛では対処が異なる場合があり、突然の激しい頭痛などでは別の病気も考える必要があります。

だからこそ、季節の変わり目に頭痛を繰り返す方は、まず次の3つに分けて考えてみてください。

  • 発作時: 光や音などの刺激を減らし、無理をせず休む
  • 平常時: 睡眠や生活リズムを整え、自分の頭痛パターンを記録する
  • 受診が必要な時: 普段と明らかに違う強い頭痛や神経症状があれば、天候のせいと決めつけず医療機関につなげる

季節の変わり目の片頭痛には、気圧や気温、湿度の変化だけでなく、睡眠不足やストレス、生活環境の変化など、さまざまな条件が関係する可能性があります。

そのため、一つの原因だけを探すより、自分の頭痛の特徴と生活の傾向を知ることが大切です。

全部を一度に変える必要はありません。

まず次に頭痛を感じた日に、「天気・痛みの強さ・睡眠」だけメモしてみる。

そして、頭痛がなかった日も一緒に残してみてください。

自分の体調を知る小さな一歩として、そこから始めてみてはいかがでしょうか。

よくある質問

「片頭痛」と「偏頭痛」は違うものですか?

一般には「偏頭痛」と表記・検索されることもありますが、医学的な標準表記は「片頭痛」です。

基本的には同じ頭痛を指して使われています。

また、片頭痛は頭の片側だけでなく、両側に痛みが起こる場合もあります。

低気圧になると必ず片頭痛が起こるのですか?

いいえ。気象変化は、一部の片頭痛患者で症状を悪化させる要因になり得るとされていますが、すべての人に当てはまるわけではありません。

睡眠、ストレス、生活リズムなど、ほかの条件も含めて自分の傾向を振り返ることが大切です。

片頭痛の記録はどのくらい続ければよいですか?

紹介した資料では、約1カ月を目安に記録する方法が取り上げられています。

最初から細かく書くのが大変なら、天気・頭痛の強さ・睡眠の3項目程度から始めましょう。

頭痛がなかった日も一緒に残しておくと、比較しやすくなります。

記録を続けても原因が分からない場合や、頭痛が生活に支障を与えている場合は、医療機関で相談してください。

参考

  • 日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
  • 大正製薬お役立ちコラム「季節の変わり目の頭痛、実はこんな理由があった!」
  • おうち病院「夏から秋へ、季節の変わり目に気を付けたい『頭痛』を医師が解説【医師にインタビュー】」
  • キジマ あたまのクリニック「季節による頭痛頻度」

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