眼精疲労で吐き気を感じたら、まず画面や細かい作業を中断して目を休ませ、続く場合は眼科で原因を確認することが大切です。
とくに急な視力低下や強い眼痛に吐き気・嘔吐が重なる場合は、単なる疲れ目と決めつけず、早めに医療機関へ相談してください。
眼精疲労で吐き気がするとき、まず何をすればいい?

最初にすることは、パソコンやスマートフォン、読書など目を使う作業を止めることです。
日本眼科学会の「眼精疲労(目の疲れ)」では、眼精疲労によって眼痛、かすみ、まぶしさ、充血などの目の症状だけでなく、頭痛、肩こり、吐き気などの全身症状が現れることがあると説明されています。
「少し休めば仕事が終わるから」と画面を見続けるより、いったん目への負担を切ることを優先しましょう。
吐き気や見え方の異常がある間は、車の運転など視覚や集中力を必要とする行動も控えるほうが安全です。
症状が軽い場合は、次のように考えると整理しやすくなります。
- パソコン、スマートフォン、読書など近くを見る作業を止める
- 目を使わず、体も楽な姿勢で休む
- 休憩中もスマートフォンを見続けない
- 症状が落ち着くまでは無理に作業へ戻らない
- 休んでも改善しない、何度も繰り返す場合は眼科へ相談する
- 急な視力低下や強い眼痛などがある場合は早急に医療機関へ相談する
ここで意外と見落としやすいのが、「休憩したつもり」になっていないかという点です。
仕事用のパソコンを閉じても、その直後からスマートフォンで動画やSNSを見ていれば、目は引き続き近くの画面を見ています。目を休ませたいときは、画面そのものから離れる時間を作ることが大切です。
吐き気まで出ていると、「何か目に良いものを使ったほうがいいのでは」と考えたくなるかもしれません。
けれども筆者としては、この段階ではセルフケア用品を足すことより、まず負担を止めることを優先したほうがよいと考えています。
「何を使うか」を考える前に、まず目を使う作業を一度やめる。これが最初の一歩です。
なぜ眼精疲労で吐き気まで起こるの?

眼精疲労は、単なる「目を使って少し疲れた状態」とは区別して考える必要があります。
日本眼科学会の「眼精疲労(目の疲れ)」では、視作業によって目や全身に症状が現れ、休息や睡眠をとっても十分に回復しない状態を眼精疲労としています。
全身症状として挙げられているのが、頭痛、肩こり、吐き気などです。
つまり、「目の症状だから吐き気とは関係ない」というわけではありません。
パソコンやスマートフォンを長時間見ていると、「目が重い」「かすむ」といった目そのものの違和感だけを想像しがちです。
ところが眼精疲労では、目だけでなく頭痛や肩こりなども一緒に現れることがあります。その延長で吐き気を感じるケースもあるため、目と全身の症状を切り離して考えすぎないことが大切です。
ただし、ここで最も大切なのは、吐き気があるからといって原因が眼精疲労とは限らないことです。
日本眼科学会の「眼精疲労(目の疲れ)」では、度の合わない眼鏡、老視、ドライアイ、緑内障、白内障、パソコンやスマートフォンの使用など、さまざまな原因が挙げられています。
さらに「目が疲れやすい(眼精疲労)原因と考えられている病気一覧」では、矯正不良、斜視・斜位、眼瞼下垂なども関連する原因として示されています。
目の使いすぎだけでなく、体全体の不調や環境などが関係する場合もあります。
そのため、「吐き気が出た=スマホの見すぎ」と一つの原因だけに絞らないことが重要です。
たとえば同じようにパソコンを使っていても、以前は問題なかったのに最近になって目の疲れや吐き気を繰り返すようになったのであれば、単純な使用時間だけでは説明できない可能性があります。
眼鏡やコンタクトレンズが現在の目に合っているか、見え方に変化がないかなど、別の角度から考えてみる必要もあるでしょう。
私がここで特に気をつけたいと思うのは、吐き気という全身症状まで出ているのに、疲れ目用の商品だけを次々に試して様子を見続けてしまうことです。
一度休んでも繰り返すなら、「何を使えば楽になるか」ではなく「なぜここまで症状が出るのか」という視点へ切り替えることも必要でしょう。
眼精疲労と吐き気を軽くするためにできる4つの対処法
症状が軽く、長時間のパソコンやスマートフォン使用のあとに起こったのであれば、まず目への負担を減らすところから始めます。
一度に全部を試す必要はありません。体調を見ながら、できることを一つずつ取り入れてみましょう。
1.画面から離れて目を休ませる

パソコンやスマートフォンを閉じ、近くを見続ける作業をいったん中断します。
休憩中に別の画面を見ると、仕事用のパソコンからスマートフォンへ変わっただけで、目にとっては近距離作業が続くことになります。
ですから、「パソコンを休む=スマホを見る時間」にはしないことがポイントです。
窓の外や部屋の奥へ自然に視線を向けたり、目を閉じたりして、文字や映像を追わない時間をつくってみてください。
「休憩時間に何をするか」よりも、まず目に入ってくる情報量そのものを減らすと考えると分かりやすいでしょう。
目を閉じて楽な姿勢になるだけなら、新しい健康グッズを用意する必要もありません。
吐き気があるときほど、あれこれ試すのではなくシンプルに休むことから始めてみてください。
2.連続して画面を見る時間を区切る
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10~15分の作業休止を設け、その途中にも1~2回の小休止を入れる考え方が示されています。
ここは誤解したくないところです。
この「1時間以内」「10~15分」という数字は、眼精疲労や吐き気を治療するための時間ではありません。
パソコンなどの情報機器を使って働く人の健康を守り、作業による負担を管理するための労働衛生上の目安です。
「10分休めば吐き気が治る」という意味ではありません。
一方で、毎日何時間も連続して画面を見ている人にとっては、「症状が限界になるまで続けない」という作業習慣を考える参考にはなります。
ここで大切なのは、吐き気が起きてから慌てて休むだけでなく、吐き気が出る前に作業を区切る発想を持つことです。
「集中していたら2~3時間たっていた」という人なら、休憩を気分任せにせず、仕事そのものを小さく区切ってみるのも一つの方法です。
3.目の周りを温めるなら、あくまで休息の一つとして
目の疲れを感じたとき、蒸しタオルやホットアイマスクなどで目の周囲を温める人もいるでしょう。
ただし、「眼精疲労なら温めれば改善する」と一つの方法に決めつけないことが大切です。
眼精疲労にはさまざまな原因があります。
とくに吐き気に加えて強い眼痛や急な見え方の変化がある場合は、温めるなどのセルフケアを繰り返して様子を見るより、原因を確認することを優先してください。
温めるとしても、「目を使わず休む時間を作る方法の一つ」くらいに考えておくとよいでしょう。
セルフケアは原因を診断するものではありません。
「温めても変わらないから、もっと長く温めよう」と繰り返すのではなく、症状が続く場合には次の対応へ切り替えることも大切です。
4.首や肩も同じ姿勢から解放する
日本眼科学会は、眼精疲労に頭痛や肩こりなどの全身症状が伴うことがあるとしています。
パソコン作業では、目だけでなく首や肩も長時間ほぼ同じ姿勢になりやすいものです。
吐き気が落ち着いていて、動いても症状が強くならないのであれば、いったん椅子から離れたり、肩の力を抜いたりして姿勢を変えてみましょう。
強く揉む、勢いよく首を伸ばすといった刺激の強いセルフケアをする必要はありません。
疲れているときほど、「さらに何かをする」より、続いていた負担を一度やめるという考え方が役立ちます。
目だけを休ませても、同じ姿勢で机に向かい続けていれば、仕事モードからなかなか抜けられません。
席を離れて体勢を変えることは、画面を見る流れそのものを断ち切るきっかけにもなります。
眼精疲労の吐き気を繰り返すなら何を見直す?

夕方になるたびに目が重くなり、頭痛や吐き気まで出てくるなら、症状が起きた瞬間だけでなくその前の数時間を振り返ってみてください。
「午後ずっと画面を見ていた」「昼休みもスマートフォンを触っていた」「最近眼鏡が見えにくい」といったことはないでしょうか。
厚生労働省のガイドラインにある作業休止は、このような負担が積み重なり続けるのを防ぐための参考になります。
一方、きちんと休憩を取っても症状が繰り返されるのであれば、休憩だけでは解決しない原因が残っている可能性も考えなければなりません。
日本眼科学会が挙げているように、眼鏡やコンタクトレンズの矯正不良、老視、ドライアイ、緑内障、白内障、斜視・斜位、眼瞼下垂などが眼精疲労の背景にある場合もあります。
そこで、繰り返す人は「吐き気が出た日」だけを見るのではなく、次のような流れで振り返ると原因を整理しやすくなります。
- 何時ごろから目の疲れを感じ始めたか
- その前にパソコンやスマートフォンをどのくらい使っていたか
- 目の疲れと頭痛、肩こり、吐き気のどれが先に現れたか
- 休むとどの程度楽になるか
- 翌朝まで症状が残っているか
- 以前と比べて見え方に変化がないか
- 同じような症状を何度繰り返しているか
これは自分で病名を判断するためではありません。
「目を使ったら気持ち悪くなった」という一言だけでは分かりにくい症状のパターンを整理するためです。
受診することになった場合にも、「夕方に起きやすい」「パソコンを長時間使った日に多い」「休んでも翌朝まで残る」など、具体的に伝えやすくなります。
そのため私は、眼精疲労と吐き気への対応を次のように整理しています。
症状が出た日は「負担を止める」。繰り返さないためには「負担の積み重ねを減らす」。それでも続くなら「原因を確認する」。
大事なのは、休憩を完璧に守ることではありません。
休んでも繰り返す症状を「自分の休み方が足りないから」と考え続けないことです。
眼精疲労と吐き気は何科?眼科受診と早急な受診を分けて考えよう
目の疲れ、かすみ、眼痛、まぶしさなどの目の症状が中心で、眼精疲労が疑われる場合は眼科が相談先の一つです。
一方、症状の組み合わせによっては「そのうち眼科へ行こう」ではなく、より早く医療機関で評価を受けたほうがよい場合があります。
ポイントは、「吐き気があるか」だけではなく、どのような目の症状と一緒に起きているかを見ることです。
休んでも続く・繰り返すなら眼科で原因を確認
日本眼科学会の定義では、眼精疲労は休息や睡眠でも十分に回復しない状態です。
目の疲れやかすみ、頭痛、吐き気などが何度も起こる場合は、眼鏡やコンタクトレンズの度数を含め、目に原因がないか眼科で確認することを考えてください。
とくに「以前より画面を見るのがつらくなった」「眼鏡をかけても見えにくい」「休んでも同じ症状を繰り返す」といった変化があるなら、単なる作業時間の問題だけにしないほうがよいでしょう。
受診するときには、「いつから」「どんな作業のあとに」「どのくらい続くか」「見え方に変化があるか」を簡単にメモしておくと、症状を伝えやすくなります。
頭痛や吐き気についても、目の症状との前後関係を覚えている範囲で伝えるとよいでしょう。
急な視力低下・強い眼痛・吐き気が重なるなら早急に相談
ここは、通常の眼精疲労とは分けて考えたいところです。
日本眼科医会の「緑内障といわれた方へ―日常生活と心構え―」では、急に眼圧が上昇する急性緑内障発作で、目の痛み、かすみ、頭痛、吐き気などが現れることがあると説明されています。
そのため、たとえば急に見えにくくなったうえに強い眼痛や頭痛、吐き気・嘔吐があるときは、「今日は目を使いすぎたから」と自己判断して休むだけで様子を見続けるべき症状ではありません。
次のような場合は、早急に医療機関へ相談してください。
- 急激に視力が低下した
- 強い眼痛が突然起きた
- 急なかすみなど、普段と違う見え方の変化がある
- 強い眼痛や見え方の異常に、頭痛・吐き気・嘔吐が伴う
- 症状が急激で強く、日常生活を続けられない
「吐き気=眼精疲労」と考えてしまうと、このような症状まで疲れ目として扱ってしまう可能性があります。
いつもの目の疲れと明らかに違う急激な変化があるかどうかは、受診を考えるうえで大切なポイントです。
目の症状がほとんどなく、激しい頭痛や繰り返す嘔吐など全身症状が中心の場合も、「眼精疲労だろう」と限定しないことが大切です。
この場合は眼科だけにこだわらず、症状に応じて医療機関へ相談してください。
眼精疲労と吐き気をどう考える?セルフケアより原因確認が大切な場面も
眼精疲労の記事を調べていると、休憩、目薬、ホットアイマスク、ストレッチなど、「何をすれば楽になるか」という情報に目が向きがちです。
もちろん、日々の負担を減らす工夫には意味があります。
ただ、筆者としては吐き気まで出ているときは「何を足すか」より「いったん止めるか」「原因を調べる段階ではないか」を考えることのほうが重要だと思っています。
眼精疲労には、画面作業だけでなく、矯正不良や目の病気など複数の原因があり得るからです。
また、厚生労働省の「1時間以内+10~15分休止」という基準も、治療法として読むのではなく、「症状が限界になるまで作業を続けないための負担管理の目安」と読むほうが実際的でしょう。
ここを混同すると、「10分休んだのに治らない」「温めたのに良くならない」と、セルフケアの方法ばかり探し続けてしまいます。
休んでも改善しないこと自体が、原因を確認するきっかけになる場合があります。
セルフケアが効かなかったのではなく、セルフケアだけで判断する段階ではない。
そんなふうに考えられると、眼精疲労との付き合い方も少し変わってくるのではないでしょうか。
個人的には、眼精疲労対策で大切なのは「一番効く方法」を探すことではなく、自分が今どの段階にいるのかを見極めることだと考えています。
長時間作業のあとに軽く疲れた段階なら、画面から離れて休む。繰り返すなら作業時間や眼鏡なども振り返る。それでも続くなら眼科で原因を確認する。
そして急激な見え方の変化や強い眼痛、吐き気・嘔吐などが重なるなら、普段のセルフケアとは切り離して考える。
このように段階を分けると、「とりあえず温める」「とりあえず目薬を使う」と一つの方法だけに頼りにくくなります。
健康情報はたくさんありますが、体調が悪いときに全部を実践する必要はありません。
まずは一つだけ、目を使う作業を止めて休むことから始めてみてください。それでも繰り返すなら、次は原因を確認する段階です。
まとめ|眼精疲労で吐き気がしたら「休む」と「受診」を使い分けよう
日本眼科学会では、眼精疲労によって目の痛みやかすみだけでなく、頭痛、肩こり、吐き気などの全身症状が現れることがあるとしています。
長時間の画面作業のあとに症状が出た場合は、まずパソコンやスマートフォンから離れ、目と体への負担を止めてください。
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」にある「一連続作業1時間以内」「10~15分の作業休止」「途中1~2回の小休止」は、治療時間ではなく日常の負担管理を考える参考になります。
そして、症状が起きた瞬間だけでなく、その前にどのくらい画面を見ていたか、いつから症状が始まったか、休むとどう変化するかを振り返ってみましょう。
一方、休んでも改善しない、何度も繰り返す場合は眼科で原因を確認することが大切です。
急な視力低下や強い眼痛、普段と違う見え方に頭痛・吐き気・嘔吐が伴う場合は、眼精疲労と決めつけず早急に医療機関へ相談してください。
眼精疲労対策というと「何かをする」ことに意識が向きますが、吐き気があるときの第一歩はとてもシンプルです。
まず目を使うことを止める。それでも続くなら原因を確認する。
迷ったときは、この二段階で考えてみてください。
よくある質問
眼精疲労だけで吐き気がすることはありますか?
あります。
日本眼科学会の「眼精疲労(目の疲れ)」では、眼精疲労による全身症状として頭痛、肩こり、吐き気などが挙げられています。
ただし、吐き気には眼精疲労以外の原因もあります。強い症状や繰り返す症状がある場合は、自己判断で眼精疲労だけに原因を絞らないようにしてください。
眼精疲労で吐き気がするときはどうすればいいですか?
まずパソコンやスマートフォン、読書など目を使う作業を中断し、楽な姿勢で休みましょう。
休憩中にスマートフォンを見ると近くを見る作業が続いてしまうため、画面そのものから離れることがポイントです。
休んでも改善しない場合や何度も繰り返す場合は、セルフケアだけを続けず眼科への相談を考えてください。
眼精疲労と吐き気は何科に行けばいいですか?
目の疲れ、かすみ、眼痛、まぶしさなどの目の症状が中心であれば、まず眼科で原因を確認する選択肢があります。
一方、目の症状が乏しく、激しい頭痛や繰り返す嘔吐など全身症状が中心の場合は、眼精疲労に限定せず症状に応じた医療機関へ相談してください。
眼精疲労による吐き気は休めば治りますか?
長時間の画面作業などによる軽い症状であれば、作業を中断して休むことで楽になる場合があります。
ただし、眼精疲労は休息や睡眠でも十分に回復しない状態として説明されています。休んでも症状が残る場合や繰り返す場合は、「もっと休めばよい」と考え続けず原因を確認することが大切です。
眼精疲労の吐き気で急いで受診したほうがいい症状はありますか?
急な視力低下、強い眼痛、急なかすみなど普段と違う見え方の変化に、頭痛・吐き気・嘔吐が伴う場合は早急に医療機関へ相談してください。
急性緑内障発作では、目の痛みやかすみ、頭痛、吐き気などが現れることがあります。
「目の使いすぎだろう」と自己判断してセルフケアだけで様子を見続けず、普段とは違う急激な症状があるときは医療機関での評価を優先してください。
参考
- 日本眼科学会「眼精疲労(目の疲れ)」
- 日本眼科学会「目が疲れやすい(眼精疲労)原因と考えられている病気一覧」
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
- 日本眼科医会「緑内障といわれた方へ―日常生活と心構え―」
