眼精疲労が気になるときは、目を動かすだけでなく、遠くを見る・まばたきをする・首や肩をやさしく動かすことまでセットにするのがおすすめです。
スマホやパソコンを長く見たあと、「目が重い」「ピントが合いにくい気がする」「首や肩までガチガチ」ということはありませんか。今回は、眼球体操やツボ刺激、疲れ眼へのセルフケアをもとに、仕事や家事の合間でも無理なく続けやすい方法を整理します。
眼精疲労のストレッチはどう取り入れる?
眼精疲労のセルフケアでは、目だけを一生懸命動かすより、近くを見続ける時間そのものをいったん切ることが大切です。
しんかい眼科クリニックでは、スマートフォンやパソコンによる眼精疲労を訴える人が多いとして、自宅でできる眼のストレッチや眼球体操、ツボ刺激を紹介しています。
具体的には、左右交互のウインク、目を閉じて開く動作、上下左右を見る運動、眼球を回す運動などです。
一方、メガネスーパーの疲れ眼・眼精疲労に関する解説では、長時間のパソコン作業では1時間に10分程度を目安に休憩を入れる方法が紹介されています。
休憩が難しい場合は、コピーを取りに行くなど、画面を見続けない作業へ切り替えるだけでも「近くを凝視し続ける時間」を分断できます。
私はここがかなり大事だと考えています。
眼精疲労対策というと「効きそうな体操」を探したくなりますが、ずっと画面を見たまま数分だけ運動して、またすぐ凝視に戻るより、見る距離と姿勢をこまめに変えることまで含めてストレッチと考えるほうが実践しやすいからです。
つまり、眼精疲労のストレッチは「目の筋肉を動かす特別な時間」だけではありません。
画面から目を離すこと、立ち上がること、肩の力を抜くことまで含めて、いったん体を作業モードから外してあげる。そんな小さな休憩として考えると、毎日の習慣にしやすくなります。
まず試したい眼精疲労ストレッチ4つ

しんかい眼科クリニックが紹介している眼のストレッチは、とてもシンプルです。
無理に大きく動かす必要はありません。目に痛みや強い違和感が出ない範囲で、ゆっくり行いましょう。
- 左右交互にウインクする:左右の目を交互に数秒ずつ閉じ、左右それぞれ10回程度。
- 両目を閉じて開く:両目をいったん閉じてから、力を抜いて開きます。
- 上下・左右を見る:顔は正面に向けたまま、視線だけを上下、左右へゆっくり動かします。
- 眼球を回す:上下左右をたどるような感覚で、視線をゆっくり動かします。
ポイントは、勢いよく目を動かさないことです。
たとえば上下を見るときも、「もっと上まで見なければ」と頑張る必要はありません。自然に動かせる範囲で視線を移動させれば十分です。
ここで気をつけたいのが、「たくさんやれば早く楽になる」と考えないことです。
メガネスーパーの解説でも、眼の体操についてやりすぎは避け、心地よいと感じる程度にすることが勧められています。
ストレッチは頑張る競技ではありません。
「少し動かして、少し休ませる」。このくらいの軽さで十分です。
特にデスクワーク中は、疲れてからまとめて何十回も行うより、「ひと仕事終わったから数回動かそう」というくらいのほうが生活に組み込みやすいでしょう。
ピントを変える眼球体操はどうやる?

しんかい眼科クリニックでは、親指を目印にしてピントを変える眼球体操も紹介しています。
方法は次の3段階です。
まず、腕を前に伸ばして親指を立て、両目で親指を見ます。
次に、親指を見たままゆっくり近づけ、ピントを合わせようとします。見え方がぼやけてきたら、再びピントが合いやすい位置までゆっくり戻します。
この「近づける・戻す」を5往復する方法です。
大切なのは、どこまで近づけられるかを競うことではありません。
無理に寄り目を作ったり、ぼやけた状態で頑張り続けたりする必要はありません。セルフケアによって痛みや不調を感じた場合は中止し、医療機関へ相談することが大切です。
また、スマートフォンのような近距離を見るときには両目が内側へ寄る仕組みがあり、長時間のスマホ使用後には遠くを見るなどして眼を休める方法も紹介されています。
そのため私は、ピント運動だけを何度も反復するより、近くを見る→遠くを見る→目を閉じるという流れにしたほうが、日常の休憩として取り入れやすいと考えています。
たとえば親指を使った体操を終えたら、すぐスマホへ戻るのではなく、少し離れた場所へ視線を移してみます。
そのあと数秒だけ目を閉じる。この流れなら「目を動かす時間」と「目を休ませる時間」の両方をつくれます。
眼精疲労と首・肩のつらさは一緒にストレッチする

パソコンやスマートフォンを見ているとき、疲れているのは目だけとは限りません。
前のめりになって画面をのぞき込んでいれば、首や肩も長時間ほぼ同じ姿勢になります。
しんかい眼科クリニックの記事では、眼球運動と首の後ろにある筋肉との関連にも触れ、眼球体操を目だけでなく首や肩のこりを意識したセルフケアとして紹介しています。
ただし、「眼球を動かせば首肩こりまで解消できる」と単純に考えるのは避けたいところです。
首や肩がつらい方は、眼の運動に加えて、画面から離れて立ち上がる、肩の力を抜く、胸まわりをゆっくり開くといった全身側の対策も合わせたほうが自然です。
ストレッチ指導で知られるトレーナーの坂詰真二さんは、ストレッチでは反動や強い力を使わず、自分でゆっくり動かし、筋肉の張りを感じる位置で行うことを勧めています。
また、デスクワークで硬くなりやすい胸まわりについては、肘を伸ばしたまま壁に手をつき、胸を反対方向へ向ける大胸筋のストレッチを紹介しています。
試すなら、壁に片手を軽くつき、胸をゆっくり反対側へ向けてみましょう。
痛いところまでねじるのではなく、「胸から肩の前が気持ちよく伸びる」ところで止めるのがポイントです。
目が疲れたときに首や肩までつらくなる方は、目だけに原因を探すのではなく、自分がどんな姿勢で画面を見ていたかも振り返ってみてください。
あごが前へ出ていたり、肩をすくめた状態になっていたりするなら、眼球体操の前に一度立ち上がって姿勢を変えるだけでも、休憩の質を変えやすくなります。
ツボ押しを組み合わせるなら強く押しすぎない
しんかい眼科クリニックでは、約3分でできる方法として、目の周囲にあるツボへの刺激も紹介しています。
登場するのは、太陽、攅竹(さんちく)、睛明(せいめい)、魚腰(ぎょよう)、絲竹空(しちくくう)、承泣(しょうきゅう)などです。
紹介されている方法では、太陽や攅竹などを軽く8〜10回押したり、複数のポイントを順番に5秒ずつ刺激したりします。
最後に太陽のあたりへ中指と薬指を当て、軽く円を描くように約10秒動かす方法も示されています。
ここでのキーワードは「軽く」です。
眼球そのものを押したり、痛みを我慢して強く刺激したりする必要はありません。目の周囲はデリケートなので、強さを競わないようにしましょう。
ツボ押しというと、「痛いほど効きそう」と感じる方もいるかもしれません。
ですが、眼精疲労のセルフケアで大切なのは刺激の強さではなく、いったん画面から離れて目の周囲を休ませる時間をつくることです。
「ちょっと休憩したいな」というタイミングで数分取り入れる程度なら、セルフケアの区切りにもなります。
また、場所がよく分からないからといって、目の周囲をあちこち強く押すのは避けましょう。無理なく触れられる範囲で、心地よさを基準にするくらいが安心です。
ストレッチだけでなく「遠くを見る・温める・休む」もセットに

眼精疲労を感じたとき、ストレッチだけですべてを解決しようとしなくても大丈夫です。
メガネスーパーでは、疲れ眼への対策として、まばたき、休憩、遠くを見ること、蒸しタオルやホットアイマスク、眼の体操など複数の方法を紹介しています。
特にパソコンやスマホなど近くを見る作業では、ピント調節に関わる仕組みが近距離へ対応し続けます。
そこで、窓の外など少し離れた場所をぼんやり見る時間をつくれば、近距離を凝視する状態から切り替えるきっかけになります。
まばたきも忘れがちです。
画面に集中すると同じ姿勢のまま固まりやすいため、「資料を1つ終えたら数回ゆっくりまばたきする」「飲み物を取りに行ったら遠くを見る」など、仕事の動作とセットにすると続けやすくなります。
ここでおすすめしたい考え方が、セルフケアを単独の習慣にしないことです。
「1時間たったら必ずストレッチ」と決めても、忙しい日は忘れてしまいます。それより、普段必ず行う動作に休憩をくっつけてしまうほうが現実的です。
たとえば、こんなタイミングがあります。
- 飲み物を取りに立ったら、少し遠くを見る
- 作業が一区切りしたら、ゆっくりまばたきする
- 席へ戻る前に肩を一度下ろす
- スマホを見るのをやめたら、数秒だけ目を閉じる
- 長く座っていたことに気づいたら、胸まわりを軽く伸ばす
特別な器具がなくてもできますし、長い時間を確保する必要もありません。
夜なら、目を閉じて休めたり、心地よい範囲で目元を温めたりする方法もあります。
なお、充血や痛みなど状態によって適した対処が異なることもあります。温めればどんな目の不調にもよい、と一括りにはしないようにしましょう。
眼精疲労ストレッチを仕事中に続けるコツは?
眼精疲労対策で意外と難しいのは、「どんなストレッチをするか」より忘れずに休むことかもしれません。
忙しくなると、「あと少しだけ」と画面を見続けてしまいます。気づいたころには目だけでなく、首も肩も重くなっていたということがありますよね。
そこで、長いセルフケア時間を新しく確保するのではなく、普段の仕事の区切りをそのまま休憩の合図にしてみましょう。
たとえば「メールを何通か返した」「資料を1つ仕上げた」「オンライン作業が一区切りした」といったタイミングです。
その瞬間に、画面から目を離して遠くを見る。数回まばたきをする。肩をストンと下ろす。
余裕があれば、上下左右へ視線を軽く動かしたり、立ち上がって胸を開いたりします。
これなら「眼精疲労対策のために10分確保しなければ」と構えなくても始められます。
もちろん、長時間のパソコン作業では1時間に10分程度を目安に休憩を入れる方法も紹介されていますので、取れる環境ならしっかり画面から離れる時間も大切にしたいところです。
難しい日は、画面を見ない別の作業へ切り替えるだけでもかまいません。
ゼロか100かではなく、近くを見続ける時間を少しでも途中で切る。この発想のほうが、忙しい人には続けやすいと私は感じます。
私が考える「目だけほぐさない」セルフケアのコツ
ここからは私なりの考察です。
眼精疲労について調べていると、眼球運動、ツボ押し、温める方法など、「何をするか」に目が向きがちです。
でも、日常で本当に見直したいのは疲れた目をほぐす方法より、目と首肩を固め続けない仕組みではないでしょうか。
たとえば、50〜60分近く画面を見続けたあとに激しく眼球を動かすより、途中で席を立ち、遠くを見て、肩を下ろし、数回まばたきをする。
これなら特別な道具もいりません。
首や肩についても同じです。
ストレッチで強く引っ張るより、まず同じ姿勢を長時間続けないこと。坂詰真二さんが指摘するように、反動をつけたり、無理に可動域を広げたりする必要はありません。
そこで、私なら眼精疲労の休憩を次のようにまとめます。
画面から目を離す → 遠くを見る → ゆっくりまばたき → 視線を軽く上下左右へ動かす → 立って胸と肩を開く。
全部やっても数分です。
この順番のよいところは、「目を動かすこと」だけが目的になっていない点です。
まず近距離の画面から離れ、見る距離を変え、まばたきをしてから軽く眼球を動かす。そして最後に姿勢そのものを変えます。
目・首・肩を別々の問題として考えるのではなく、長時間同じ作業を続けた体全体の小休止として扱うわけです。
疲れ切ってから長時間のセルフケアをするより、「まだ大丈夫」という段階で短く休むほうが、生活の中には組み込みやすいと感じます。
そして、もう一つ大切なのが「今日は全部やらなくてもいい」と考えることです。
忙しい日なら遠くを見るだけでもいいですし、自宅なら目を閉じて休むだけでもかまいません。余裕のある日に眼球体操や胸まわりのストレッチまで加えればよいでしょう。
健康習慣は、完璧にできる方法より、疲れている日にもできる方法のほうが残りやすいものです。
眼精疲労のセルフケアも同じで、「毎回フルコース」ではなく、その日の状況に合わせて一つ選ぶくらいの気軽さでよいと思います。
ただし、セルフケアは診断や治療の代わりではありません。
強い痛み、見え方の急な変化、ものが二重に見える、強い充血、症状が繰り返すなど、普段とは違う異常がある場合は、体操を続けて様子を見るのではなく眼科などへ相談してください。
まとめ|眼精疲労のストレッチは目・首・肩を少しずつ休ませよう
眼精疲労のセルフケアとしては、左右のウインク、目を閉じて開く、上下左右を見る、眼球をゆっくり動かすといった簡単な運動があります。
しんかい眼科クリニックでは、親指を使ったピント運動を5往復する方法や、太陽・攅竹・睛明などを軽く刺激する方法も紹介されています。
さらに、長時間の画面作業では、遠くを見る、まばたきを意識する、休憩を入れる、首や肩まわりの同じ姿勢を解くことも大切です。
つまり、眼精疲労のストレッチを「目だけの運動」と考えなくてもよいのです。
画面から離れる、見る距離を変える、目を休ませる、姿勢を変える。こうした小さな動きを組み合わせることで、仕事や日常生活にも取り入れやすくなります。
最初から全部やる必要はありません。
まずは今日、画面から離れたときに遠くを見て、肩の力を抜く。その一つだけでも、セルフケアを始めるきっかけになります。
よくある質問
眼精疲労のストレッチは何回くらいやればいいですか?
しんかい眼科クリニックでは、左右交互のウインクは左右各10回、親指を使ったピント運動は5往復、ツボ刺激では8〜10回などの方法が紹介されています。
ただし、回数を増やすほどよいわけではありません。痛みや違和感がなく、心地よく終えられる範囲にしましょう。
眼精疲労には遠くを見るだけでも意味がありますか?
近くを長時間見続けているときの休憩方法として、遠くを見ることは取り入れやすい方法です。
ストレッチと別物に考えず、「画面から目を離して見る距離を変える時間」として組み込むと続けやすくなります。
首や肩がこっているときも眼のストレッチだけでいいですか?
目だけでなく、首や肩も同じ姿勢で固まっているなら、立ち上がったり胸や肩をやさしく動かしたりする方法も組み合わせるとよいでしょう。
特に長時間のパソコンやスマホでは、目の運動だけに集中せず、姿勢を変える休憩も一緒に考えるのがおすすめです。
ただし、首や肩に強い痛みやしびれがある場合は、無理にストレッチせず医療機関へ相談してください。
眼球を大きく動かしたほうが眼精疲労にいいですか?
無理に大きく動かす必要はありません。
上下左右を見る運動や眼球を回す運動も、痛みや強い違和感が出ない範囲でゆっくり行いましょう。「たくさん」「強く」ではなく、心地よく終えられる程度が基本です。
眼精疲労のストレッチは仕事中でもできますか?
左右のウインクやまばたき、遠くを見る方法なら、仕事の短い区切りにも取り入れやすいでしょう。
余裕があるときは席を立ち、肩の力を抜いたり胸まわりを軽く伸ばしたりすると、目だけでなく長時間続いた姿勢もいったん切り替えられます。
眼精疲労で眼科を受診したほうがよいのはどんなときですか?
セルフケア中に痛みや不調が出る場合は無理に続けないことが大切です。
また、強い痛み、見え方の急な変化、ものが二重に見える、強い充血、症状を繰り返すなど、普段とは違う異常がある場合は、ストレッチだけで様子を見続けず眼科などへ相談してください。
参考
- しんかい眼科クリニック「眼のストレッチ・眼球体操・ツボ刺激に関する記事」
- しんかい眼科クリニック「スマートフォン使用時の眼の働きと休息に関する記事」
- メガネスーパー「疲れ眼・眼精疲労に関する解説」
- 坂詰真二さんによるストレッチ解説
