眼精疲労の改善は、画面作業を区切る・乾燥を減らす・作業環境を整える・十分に休むことから始め、症状が続く場合は眼科で原因を確認するのが基本です。
大切なのは、疲れた目に何かを足すことだけではありません。毎日の生活に隠れている「目を疲れさせる条件」を一つずつ減らしていくと、何から始めればよいのかが分かりやすくなります。
眼精疲労とは?休めば楽になる「疲れ目」と何が違う?
眼精疲労とは、目を使うことで疲れや痛み、かすみなどが現れ、頭痛や首・肩のこりといった全身の不調まで伴うことがある状態です。
目を使いすぎると、つらさは目だけにとどまらず、体の疲れとして感じることもあります。
たとえば「昨日はパソコンを使いすぎたけれど、一晩眠ったら楽になった」という程度なら、一時的な疲れ目として落ち着くことがあります。
一方で、十分に休んでも目の重さや痛み、かすみ、見えにくさなどが続く場合は、単純な「目の使いすぎ」だけとは限りません。
眼精疲労につながる要因として考えられるのは、次のようなものです。
- パソコンやスマートフォンを長時間見続ける
- 近い距離へ長時間ピントを合わせ続ける
- 画面への集中でまばたきが少なくなる
- エアコンや乾燥した環境で目が乾きやすくなる
- メガネやコンタクトレンズが合っていない
- 画面の高さや距離、照明、映り込みに問題がある
- 同じ姿勢を長時間続ける
- 睡眠や休養が足りていない
ここで覚えておきたいのは、デスクワークでは原因が一つだけとは限らないということです。
画面を近くで見続けながら、まばたきが減り、エアコンの風を受け、同じ姿勢を続ける。こうして小さな負担が重なると、目だけでなく首や肩までつらくなりやすくなります。
たとえるなら、一つひとつは小さな荷物でも、何個も抱えたまま一日を過ごせば重く感じるのと同じです。
私は眼精疲労のセルフケアを考えるとき、「何を買えばいいのかな?」より先に、今の生活にある負担をどこまで減らせるかを見るようにしています。
この順番なら、必要以上にセルフケアを増やさずに済みます。
眼精疲労では何分ごとに休憩する?1時間以内を一つの目安に
パソコンなどを使う情報機器作業では、一連続作業時間を1時間以内にし、その途中にも1~2回程度の小休止を入れるという考え方があります。
入力、検索、文書作成、編集などでパソコンやタブレットを使っていると、気づかないうちに1時間、2時間と画面を見続けてしまうことがあります。
目の疲れを減らしたいなら、「疲れたら休む」だけではなく、疲れ切る前に画面作業を区切ることを意識してみましょう。
目安として整理すると、
- 一連続作業時間は1時間を超えないようにする
- その途中に1~2回程度の小休止を設ける
- 次の連続作業までに10~15分の作業休止時間を設ける
といった考え方になります。
ここでいう「作業休止」は、ずっと椅子に座ったまま何もしない時間を作らなければならない、という意味ではありません。
情報機器作業をいったん中止して、遠くを見る、目を閉じる、体を動かす、別の業務へ切り替えるといった方法があります。
つまり、近くの画面を見続ける状態そのものを途切れさせることがポイントです。

仕事中なら、大がかりな休憩を取れなくても大丈夫です。
- 飲み物を取りに立つ
- 紙の書類を見る作業へ切り替える
- 窓の外など少し遠くを見る
- 背もたれに体を預けて姿勢を変える
- ゆっくり数回まばたきをする
このような小さな行動でも、画面を見続けている状態をいったん切り替えられます。
20-20-20ルールはどう取り入れる?
デジタル眼精疲労の休憩方法としてよく知られているのが、20-20-20ルールです。
これは、20分ごとに約20秒間、20フィート(約6m)離れたものを見るという考え方です。
ただし、「必ず20分ごとでなければならない」という絶対的な治療基準として考える必要はありません。
「仕事に集中すると数時間画面を見続けてしまう」という人が、定期的に視線を遠くへ切り替えるための覚えやすい合図として使うと取り入れやすいでしょう。
私なら、20分ごとにタイマーが鳴って仕事へ集中できなくなるのであれば、無理にその方法にはこだわりません。
その代わりに、「メールを数通返したら遠くを見る」「飲み物を飲むたびに画面から視線を外す」というように、普段の行動と目の休憩をセットにします。
数字を完璧に守るより、自然に続けられる仕組みにすることのほうが大切です。
眼精疲労で目を温める方法は?乾燥を伴う疲れの休憩として取り入れる
目の疲れと乾燥感が気になるときには、熱すぎない蒸しタオルなどを閉じた目の上にのせて休む方法があります。
パソコン作業で目が疲れたり乾いたりしたときの休憩方法の一つとして、目元を温める方法が知られています。
目の表面には涙だけでなく、涙が蒸発しすぎないようにする油分もあります。目元を温める方法は、この油分に関わる部分の働きを助ける目的で使われることがあります。
ただし、ここは少し分けて考えておきたいところです。
目を温めれば、眼精疲労の原因すべてが解決するわけではありません。
たとえばメガネの度数が合っていない場合や、視力、目の病気などに問題がある場合には、目元を温めるだけでは原因そのものを解決できません。

自宅で取り入れるなら、難しく考えなくても大丈夫です。
- 熱さを我慢するほど温めない
- 目を閉じてゆっくり休む
- 眼球を強く押さえない
- 目の周囲を強く揉まない
市販の温熱アイマスクなどを使う場合は、使用時間や注意事項を商品の説明に沿って確認してください。
また、目元を温める時間を「画面を見ない時間」にすると、一つの行動で休憩も兼ねられます。
スマートフォンを見ながら温熱アイマスクを使うことはできませんが、それくらい思い切って画面から離れる時間を作るほうが、休憩としては分かりやすいですね。
一方で、強い目の痛みがある、急に見えにくくなった、見え方が突然変わったといった場合は、自己判断で温め続けるより眼科へ相談することを優先します。
「疲れ目だから温めればいい」と決めつけないことも、セルフケアでは大切です。
眼精疲労を減らすPC環境は?画面との距離40cm以上を確認
PC環境を整えるなら、まず目とディスプレイの距離を40cm以上確保できているかを確認してみましょう。
情報機器作業では、ディスプレイと目の間に40cm以上の距離を確保し、画面の上端が目の高さより高くなりすぎないようにすることが一つの目安になります。
毎日何時間も画面を見る人ほど、疲れたあとにケアするだけではなく、疲れを生みやすい環境そのものを整えることが大切です。

まずは次のポイントを確認してみてください。
- 目と画面を40cm以上離す
- 画面の上端が目より高くなりすぎないようにする
- 窓や照明が画面へ強く映り込まないようにする
- 小さすぎる文字は表示サイズを大きくする
- 長時間同じ姿勢を続けない
- エアコンの風を目へ直接当てない
- ときどき立ち上がったり座り直したりする
モニターとの距離については、40~50cm程度を一つの目安として考える方法もあります。
画面が遠くなると文字が見づらくなり、結局顔を近づけてしまうこともあります。その場合は、我慢して読むより文字や表示そのものを大きくするほうが現実的です。
画面だけでなく「乾燥」と「姿勢」も一緒に確認する
パソコン作業では、画面へ集中することでまばたきが減り、目が乾きやすくなることがあります。
長時間のコンピュータ作業やコンタクトレンズなど、日常生活の中には目の乾燥につながる要因があります。
そこへエアコンの風が加われば、乾燥しやすい条件がさらに重なることになります。
つまりデスクワークでは、
近くを見る負担+まばたきの減少+乾燥+姿勢の固定
が同時に起こりやすいのです。
これが、私がセルフケア用品より先に環境調整を確認したい理由です。
たとえば新しい健康グッズを一つ増やしても、毎日8時間、顔へエアコンの風が当たり続けていたら、負担の一つはそのまま残ります。
一方で、風向きを変える、画面を少し遠ざける、文字を大きくするといった変更なら、作業をしている時間を通して負担を減らす方向へ働きます。
疲れを取る対策より、疲れを作りにくくする対策を先に確認する。
眼精疲労対策では、この考え方を一つ覚えておくと整理しやすくなります。
睡眠や食事は眼精疲労の改善に関係する?
睡眠や食事だけで眼精疲労が解決するわけではありませんが、目と体を休ませるための生活の土台として大切です。
とくに睡眠不足の状態で長時間パソコンやスマートフォンを使い続ければ、十分に休めないまま次の日の作業を始めることになります。
成人の睡眠時間については、科学的知見を踏まえるとおおよそ6~8時間が適正な睡眠時間と考えられ、少なくとも6時間以上の睡眠時間を確保することが推奨されています。
ただし、必要な睡眠時間には個人差があります。
「6時間眠れば全員十分」という意味ではありません。
朝起きたときに休めた感覚があるか、日中に強い眠気がないかなど、睡眠によってしっかり休めているかも一緒に考える必要があります。

食事についても同じです。
目の健康について調べていると、ビタミンA、ルテイン、アントシアニンなど、さまざまな栄養成分を目にします。
しかし、特定の食品やサプリメントを取れば眼精疲労が解消する、と単純に考えないほうがよいでしょう。
食生活が偏っているなら、まず普段の食事を整える。
睡眠時間が削られているなら、寝る直前まで見ているスマートフォンを少し早く置く。
眼精疲労について調べ始めると、どうしても「何を足せば楽になる?」と考えがちです。
でも、すでに負担が多い生活へセルフケアの宿題をいくつも増やすと、それ自体が続かなくなってしまいます。
まずは負担を一つ減らす。
それくらいの始め方が、この研究所にはちょうどいいと思っています。
眼精疲労が改善しないときは?眼科へ相談したい症状
十分に休んでも症状が続くなら、セルフケアを増やし続けるのではなく、眼科で原因を確認する段階と考えましょう。
眼精疲労の背景には、ドライアイだけでなく、近視・遠視・乱視などの屈折の問題や、メガネ・コンタクトレンズが合っていないことなどが関係する場合があります。
目が適切に使われていない場合や、目または全身に別の問題がある場合にも、疲れを感じやすくなることがあります。
また、40歳以降では年齢によるピント調節の変化も無視できません。
自分の目に合っていない老眼鏡が、眼精疲労につながる場合もあります。
「最近パソコンを見ると疲れるようになった」という変化があったとき、パソコンを使う時間だけが原因とは限らないわけです。
次のような場合は、「パソコンの見すぎだろう」と自己判断しすぎないようにしてください。
- 休んでも目の痛みや見えにくさが続く
- 急に視力が落ちたように感じる
- 見え方が突然変化した
- 物が二重に見える
- 強い目の痛みがある
- 強い眼痛とともに頭痛や吐き気がある
とくに急な見え方の変化や強い目の痛みは、いつもの疲れ目と同じ扱いにしないことが大切です。
私は医療専門職ではありません。
このサイトでは診断や治療をするのではなく、公的機関や眼科の専門機関が公開している情報をもとに、「日常生活では何から見直せるか」を分かりやすく整理することを大切にしています。
セルフケアで様子を見る範囲と、医療機関で原因を確認する範囲をきちんと分けることも、健康情報と付き合ううえで大切なポイントです。
眼精疲労の改善方法は?まず4段階で考えてみよう
眼精疲労を改善したいからといって、いろいろな方法を一度に試す必要はありません。
私なら、「負担を減らす→乾燥を減らす→休ませる→続くなら原因を確認する」という4段階で整理します。
1.画面から受ける負担を減らす
一連続作業は1時間を超えないようにし、途中にも小休止を入れます。
画面との距離が40cm以上あるか、画面が高すぎないか、文字が小さすぎないかも確認しましょう。
20-20-20ルールを使う場合も、「20分」という数字を守ることそのものではなく、近くを見続ける時間を定期的に途切れさせることを意識します。
2.乾燥する条件を減らす
パソコンやスマートフォンへ集中すると、まばたきが少なくなることがあります。
意識してゆっくりまばたきをしたり、エアコンの風が直接顔へ当たっていないか確認したりしてみましょう。
コンタクトレンズを使用していて乾燥感や目の疲れが続く場合も、「単なる疲れ」と決めつけず、必要に応じて眼科で相談することが大切です。
3.目と体を休ませる
画面から離れて視線を遠くへ切り替え、必要に応じて目元を無理のない温度で温めます。
睡眠時間を削りすぎないことも大切です。
ここでポイントになるのが、「目だけ休ませる」と考えないことです。
遠くを見るために立ち上がれば、目のピントを近くから遠くへ切り替えながら、固まっていた姿勢も変えられます。
飲み物を取りに行けば、画面から離れると同時に首や肩も動きます。
つまり、一度の休憩で目・首・肩・姿勢をまとめて切り替えられるわけです。
「目の休憩」「肩の運動」「姿勢改善」とセルフケアを三つの宿題に分けなくても構いません。
忙しい日ほど、一つの行動で複数の負担を減らす。
このほうが生活になじみやすく、結果として続けやすいと私は考えています。
4.続く症状は原因を確認する
休んでも症状が改善しない場合や、痛み・見え方の異常がある場合は眼科へ相談します。
メガネやコンタクトレンズが現在の目に合っているかを確認することも大切です。
この4段階の順番には理由があります。
眼精疲労が起きやすいデスクワークでは、近くを見る、まばたきが減る、乾燥する、姿勢が固定されるといった負担が同時に起こりやすくなります。
だから最初に行いたいのは、疲れたあとに対策を次々と重ねることではなく、負担が発生している場所を先に減らすことです。
セルフケアを「足し算」ではなく「引き算」から考えてみると、眼精疲労対策はぐっとシンプルになります。
今日から眼精疲労対策を始めるなら何をする?
「方法は分かったけれど、結局どれから始めればいいの?」と思った方は、今日の生活の中で最も大きそうな負担を一つだけ選んでみてください。
たとえば、休憩せず画面を見続けている人なら、最初に取り組みたいのは高価なアイケア用品を探すことではなく、画面を見る時間を区切る仕組みを作ることです。
エアコンの風が顔へ直接当たっているなら、まず風向きを変えてみる。
画面へ顔を近づけているなら、文字を大きくして40cm以上離れられないか試してみる。
仕事が終わっても寝る直前までスマートフォンを見ているなら、いつもより少し早く画面を置いてみる。
こう考えると、眼精疲労対策は特別な健康習慣というより、普段の作業を少しだけ目にやさしい形へ変えていくことだと分かります。
個人的には、ここが眼精疲労対策で見落とされやすいポイントだと感じています。
セルフケアというと、蒸しタオルやアイマスク、食べ物など「何かをすること」に目が向きやすいものです。
もちろん、それらを上手に取り入れる方法もあります。
ただ、毎日繰り返される原因が残ったままでは、ケアする時間と負担をかける時間の綱引きになってしまいます。
だからこそ、毎日何時間も続く負担を5%減らすような工夫を先に探してみる。
画面との距離、休憩、風向き、文字サイズ、睡眠など、ほんの小さな変更でも構いません。
「全部やらなくちゃ」と思わなくて大丈夫です。
健康のために生活が窮屈になってしまっては本末転倒ですから、まずは一つだけ、今の自分にできそうなところから始めてみましょう。
まとめ
眼精疲労の改善方法を探しているなら、まずは画面作業を区切る→乾燥する条件を減らす→PC環境を整える→目と体を休ませるという順で見直してみましょう。
情報機器作業では、一連続作業時間は1時間以内、途中に1~2回程度の小休止、ディスプレイとの距離は40cm以上が一つの目安です。
20-20-20ルールを使って定期的に遠くを見る、目元を無理のない温度で温めて休む、エアコンの風向きを変える、文字を大きくするといった方法も、生活に合わせて取り入れられます。
ただし、眼精疲労にはメガネやコンタクトレンズが合っていないことや、目の状態などが関係している場合もあります。
十分に休んでも症状が続く場合や、強い目の痛み、急な見え方の変化がある場合は、セルフケアだけで何とかしようとせず眼科で原因を確認してください。
全部を今日から変える必要はありません。
まず次にパソコンを使うとき、一度だけ画面から目を離して、少し遠くを見てみる。
改善の第一歩は、そのくらい小さくて大丈夫です。
よくある質問
眼精疲労では何分ごとに休憩すればよいですか?
情報機器作業では、一連続作業時間を1時間以内とし、その途中に1~2回程度の小休止を設ける考え方があります。
20分ごとに20秒間、20フィート(約6m)先を見る「20-20-20ルール」もありますが、絶対的な治療基準ではありません。画面を見続けないための覚えやすい目安として利用するとよいでしょう。
眼精疲労は目を温めれば改善しますか?
パソコン作業などで目が疲れて乾いているときには、蒸しタオルなどを閉じた目の上にのせて休む方法があります。
ただし、温めることは眼精疲労の原因すべてを解決する方法ではありません。強い痛みや急な見え方の変化がある場合は、自己判断で温め続けず眼科へ相談してください。
眼精疲労は寝れば改善しますか?
一時的な疲れ目なら、画面から離れて休んだり睡眠を取ったりすることで楽になることがあります。
一方、十分に休んでも痛み、かすみ、見えにくさなどが続く場合は、ドライアイやメガネの度数、目の状態など別の原因が関係している可能性もあります。長引く場合は眼科で原因を確認しましょう。
眼精疲労には20-20-20ルールと1時間ごとの休憩のどちらがよいですか?
どちらか一方だけを選ばなければならないものではありません。
20-20-20ルールは作業中に短く視線を遠くへ移すための目安として使い、長時間の情報機器作業そのものは1時間以内を目安に区切る、と考えると整理しやすくなります。
眼精疲労対策で最初に見直すなら何ですか?
まず、普段の作業中に最も長く続いている負担を確認してみましょう。
休憩なしで画面を見ているなら作業を区切る、画面が近いなら40cm以上離す、エアコンの風が顔へ当たっているなら風向きを変える、といったように、毎日繰り返されている原因から一つ減らす方法がおすすめです。
参考
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 日本眼科医会「屈折異常と眼精疲労」
- 日本眼科医会「パソコンと目」
- 日本眼科医会のドライアイに関する情報
- 日本眼科医会「40代で始まる目の老化」
- American Academy of Ophthalmology EyeWiki

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