雨の日にだるくて気分が落ち込むのは、気圧・湿度・日照などの変化が関係している可能性があります。ただし、晴れの日も落ち込みが続き、楽しめない状態や生活への支障がある場合は注意が必要です。
「雨の日になると、なぜか何もする気が起きない」「体が重くて、気持ちまで沈んでしまう」。そんな経験はありませんか?
雨の日の不調とうつ病は、「晴れたら元気になるか」だけでは判断できません。
気分の落ち込みが続く期間に加え、好きなことを楽しめるか、眠れているか、食欲はどうか、普段の生活を送れているかを一緒に見ることが大切です。
この記事では、雨の日にだるさや憂鬱な気分が生じる理由、うつ病との違い、注意したいサイン、今日からできる対処法を分かりやすく整理します。
雨の日にだるい・気分が落ち込むのはなぜ?

雨の日の「体が重い」「眠い」「気分が沈む」といった変化には、気圧・湿度・日照など複数の環境変化が関係している可能性があります。
天候の変化に伴って起こる頭痛やめまい、倦怠感などの不調は、一般に「気象病」と呼ばれることがあります。
ただし、気象病はさまざまな症状をまとめた呼び方であり、それだけで特定の病気が診断されるわけではありません。
雨の日の不調を理解するには、まず体が環境の変化にどう反応するのかを知ることが役立ちます。
気圧の変化と自律神経の関係
私たちの体は、周囲の環境が変わっても、なるべく一定の状態を保とうとしています。
その調整に関係しているものの一つが、自律神経です。
自律神経には、活動するときに働きやすい「交感神経」と、休息するときに働きやすい「副交感神経」があります。
気圧などの環境変化に伴って、この働きが影響を受ける可能性が指摘されています。
例えば、雨が近づくと頭が重くなる、眠気が強くなる、体がだるく感じるといった経験をする人もいます。
ただし、これらの症状がすべて自律神経の変化によって起こると証明されているわけではありません。
天候は体調に影響する可能性のある要因の一つであり、唯一の原因とは限らないという点を覚えておきたいところです。
耳の奥にある「内耳」が関係する可能性
さらに、耳の奥にある「内耳」が気圧の変化を感じ取り、自律神経に影響を与える可能性についても研究されています。
内耳は、音を聞くだけでなく、体のバランスを保つ働きにも関係する部分です。
気圧の変化を感じ取る仕組みについては研究が進められていますが、その反応がどの程度だるさや気分の落ち込みにつながるのかは、まだ十分に解明されていません。
雨の日に頭痛やめまいを伴う人がいる一方で、ほとんど変化を感じない人もいます。
つまり、雨が降れば誰でも不調になるわけではなく、天候への反応や症状の強さには個人差があるのです。
雨の日のだるさは気持ちの問題だけではない
ここで大切なのは、雨の日に調子が落ちたとき、すぐに「気持ちの問題」「怠けている」と考えないことです。
天候による環境変化だけでなく、睡眠不足や疲労の蓄積、生活リズムの乱れなどが重なっている場合もあります。
例えば、前日にあまり眠れなかったところへ雨が降り、外出する機会も減ったとします。
その日のだるさは、天候だけではなく、睡眠や活動量など複数の条件が重なった結果かもしれません。
私は、体調を考えるときに「原因を一つに決めつけないこと」がとても大切だと感じています。
天候と体調が連動している可能性も含めて、自分の状態を見ることが第一歩になります。
雨の日の「うつっぽさ」には日照や湿度も関係する?
雨の日に気分が沈む背景には、気圧だけでなく、日照や湿度、活動量などの変化も関係している可能性があります。
ただし、これらの環境変化とうつ病の発症を直接結びつけることはできません。
「雨の日は憂鬱になる」という身近な感覚について、研究で分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて見ていきましょう。
日照不足と気分の落ち込み
雨の日は、晴天時より光を浴びる機会が少なくなりやすいため、気分の変化を考えるときには日照も無視できません。
日照時間と気分の関係については、日本人の季節による気分および行動の変化に関する研究や、季節性情動障害(SAD)などの研究でも扱われています。
季節性情動障害とは、特定の季節に気分の落ち込みなどが現れ、季節の移り変わりに伴って症状が変化する状態です。
秋から冬にかけて症状が現れるケースが知られていますが、雨の日に一時的に憂鬱になることとは区別して考える必要があります。
また、日光を浴びることは、睡眠と覚醒のリズムを整えるうえでも重要です。
朝に光を浴びると、体内時計が外の明暗の周期に合わせて調整されやすくなります。
一方、雨の日は外出を控えたり、室内で過ごす時間が長くなったりするため、光を浴びる機会が減ることがあります。
セロトニンは気分などに関係する神経伝達物質の一つですが、「雨の日に光を浴びればセロトニンが増えて、落ち込みが改善する」と単純に言い切れるものではありません。
気分には睡眠、ストレス、生活環境なども関係しています。
光を取り入れることは生活リズムを整える工夫の一つですが、うつ病の治療に代わるものではありません。
湿度が高いと気分まで重くなる?
雨の日には湿度も高くなりやすく、蒸し暑さや不快感を覚えることがあります。
湿度と心の状態についても研究があります。
オーストラリアの気候とメンタルヘルスを扱った資料では、高温に高い湿度が重なる環境と精神的苦痛との関連が紹介されています。
高温多湿の環境では、汗が蒸発しにくくなり、体の熱を逃がしにくくなることがあります。
その結果、暑さによる不快感や睡眠の質の低下などが生じ、間接的に気分や体調へ影響する可能性も考えられます。
ただし、こうした結果は、気温や湿度、対象となった人々、調査方法などの条件を踏まえて読む必要があります。
特定の湿度になれば精神的苦痛が一定の割合で増える、と個人にそのまま当てはめることはできません。
また、湿度の高い雨の日と、気温が低く肌寒い雨の日では、体が感じる負担も異なるでしょう。
雨の日の気分の落ち込みを考える際には、湿度だけでなく、室温や睡眠の状態も一緒に確認したいところです。
低気圧とうつ様行動を調べた研究
気圧と気分の関係については、動物を対象にした研究もあります。
Mizoguchiらによるラットの研究「Lowering barometric pressure aggravates depression-like behavior in rats.」では、気圧を下げた実験環境でラットのうつ様行動が悪化したことが報告されています。
これは、気圧の変化と行動の関係を調べるうえで興味深い研究です。
ただし、ここは特に誤解したくないところです。
ラットに見られた「うつ様行動」と、人間のうつ病は同じものではありません。
この研究から「低気圧が人間のうつ病を引き起こす」と断定することはできず、気圧と行動の関係を検討した基礎研究の一つとして捉える必要があります。
また、動物実験の結果をそのまま日常生活に当てはめることも適切ではありません。
私は、このような研究を見るときこそ「雨の日の落ち込みは気のせいではない」と断定するのではなく、「天候と心身の状態には、まだ調べる価値のある関係がある」と一段控えめに受け止めるのがよいと考えています。
雨の日には気圧、湿度、光量、活動量などが同時に変わります。
ひとつだけを原因と考えるより、いくつかの条件が重なって調子に影響している可能性を考えるほうが自然です。
「雨の日だけだるい」と「うつ病」はどう見分ける?

雨の日だけだるいからといって、うつ病とは限りません。一方、天候に関係なく落ち込みなどが続き、楽しみや睡眠、食欲、日常生活にも変化が出ている場合は、雨だけの問題と決めつけないことが大切です。
雨の日の不調とうつ病の違いを考えるときには、気分だけでなく、症状が続く期間や生活への影響も確認します。
次の表は診断基準ではありません。
あくまで、自分の状態を整理して相談の必要性を考えるための観察ポイントです。
観察するポイント 天候と連動している場合 注意して見たい状態
天気との関係 雨や曇りの日に目立つ 天候に関係なく続く
気分の変化 天候とともに変動する 落ち込みが長く続く
興味・楽しみ 好きなことは楽しめる 以前楽しめたことも楽しめない
睡眠 大きな変化はない 眠れない、寝すぎるなどの変化
食欲 大きな変化はない 極端に減る、または増える
日常生活 調子は落ちてもある程度動ける 仕事や家事などへの影響が大きい
続く期間 天候に合わせて変動する 2週間以上続いている
この表で重要なのは、左右のどちらかに当てはめて病気を判断することではありません。
天候による不調とうつ病の症状が重なることもあり、両方が同時に存在する可能性もあります。
晴れたら元気になるなら、うつ病ではない?
「晴れたら戻るか」は分かりやすい観察ポイントですが、それだけでうつ病かどうかを判断することはできません。
例えば、雨の日に強いだるさを感じても、翌日の晴天時には普段どおり活動できる場合があります。
こうした変化が繰り返されるなら、天候と体調の関係を観察する意味はあるでしょう。
一方で、晴れた日に一時的に気分がよくなったとしても、それだけでうつ病の可能性を否定することはできません。
うつ病でも気分に波が生じることがあるためです。
「晴れの日に少し元気だったから大丈夫」と安心しすぎず、数日から数週間の全体的な状態を見ることが大切です。
以前は楽しかったことが楽しめない場合
うつ病を考えるときには、憂鬱な気分だけを見るのではなく、「以前なら楽しめたことを楽しめない」という変化にも注目します。
例えば、好きだった趣味に興味が湧かない、友人との会話を楽しめない、休日になっても何もしたいと思えないといった状態です。
もちろん、疲れているときには誰でも一時的に意欲が低下することがあります。
しかし、こうした状態が長く続き、普段の自分とは明らかに違うと感じる場合は、単なる天候の影響と決めつけないほうがよいでしょう。
特に、睡眠や食欲の変化、集中力の低下なども重なっている場合には注意が必要です。
「2週間以上」は何を意味する?
気分の落ち込みや興味・喜びの低下が、ほぼ毎日、2週間以上続いているかどうかは、うつ病を考える際の重要な目安の一つです。
ただし、2週間という期間だけで診断されるわけではありません。
症状の種類や強さ、生活への影響、ほかの病気や薬の影響なども含めて、医療機関で総合的に判断されます。
また、2週間たつまで相談してはいけないという意味ではありません。
症状が強い、仕事や家事が難しい、本人がかなりつらいと感じている場合などは、期間だけにこだわらず医療機関や相談窓口を利用することを考えてよいでしょう。
雨の日のだるさには別の原因が隠れていることも
もう一つ覚えておきたいのが、だるさや眠気は、うつ病や天候の変化だけで起こるものではないという点です。
睡眠不足、貧血、甲状腺の病気、感染症、服用している薬の影響など、さまざまな原因が考えられます。
例えば、雨の日に限らず疲れやすい、以前より息切れしやすい、強い眠気が続くといった場合には、体の病気が関係している可能性もあります。
そのため、だるさが長引く場合は、内科などで相談することも選択肢です。
「雨の日だから」「気分の問題だから」と原因を一つに絞らないことが、適切な対応につながります。
雨の日のだるさでも注意したいサインは?
雨の日から始まったように感じても、天候だけでは説明しにくい変化が続いているかを確認してみましょう。
特に気に留めておきたいのは、次のような状態です。
- 憂鬱な気分や無気力が天候に関係なく続いている
- 以前は好きだったことにも興味や喜びを感じにくい
- 眠れない、または寝すぎるなど睡眠が大きく変わった
- 食欲が大きく減った、または増えた
- 自分を強く責めたり、自分には価値がないと感じたりする
これらは「当てはまったらうつ病」というチェックリストではありません。
一方で、「雨のせいだろう」と考え続けることで、天候とは別の心身の変化に気づきにくくなることもあります。
特に、気分の落ち込みなどが天候に関係なく2週間以上続いている場合は、ひとつの相談目安として考えてください。
生活に支障が出ている場合は早めに相談する
例えば、朝起きることが難しくなった、仕事や家事に手がつかない、人と会うことを避けるようになったといった変化です。
以前は問題なくできていたことが難しくなっている場合、心身の負担が大きくなっている可能性があります。
このようなときは、症状が何日続いたかだけでなく、日常生活にどの程度影響しているかを重視してください。
状態がつらいときには、心療内科や精神科、かかりつけ医、自治体などの相談窓口につなげることも選択肢です。
どこに相談すればよいか迷う場合は、まず普段利用している医療機関に相談しても構いません。
自分を傷つけたい気持ちがある場合
気分の落ち込みが強く、「消えてしまいたい」「自分を傷つけたい」と感じる場合は、天候との関係や2週間という期間にこだわらず、早急に支援を求めてください。
一人で抱え込まず、信頼できる人や医療機関、地域の相談窓口に今の状態を伝えることが大切です。
差し迫った危険がある場合は、救急サービスなど緊急の支援を利用してください。
雨の日の憂鬱さを必要以上に怖がる必要はありませんが、つらさが強いときに我慢し続ける必要もありません。
雨の日のだるさを和らげるためにできる対処法
雨の日の不調が気になる場合は、室内環境や生活リズムを整えることから始めてみましょう。
ただし、ここで紹介する方法は、日常生活を少し快適にするための工夫です。
うつ病やほかの病気の治療に代わるものではありません。
1. 室内の湿度と温度を確認する
雨の日は湿度が高くなりやすいため、室内の蒸し暑さや不快感がだるさにつながっている場合があります。
湿度については、40〜60%程度が快適な室内環境を考える際の目安として紹介されています。
ただし、これ自体が気分の落ち込みを改善する数値という意味ではありません。
湿度が高すぎる場合には、除湿機やエアコンの除湿機能を使うなど、過ごしやすい環境を整える方法があります。
また、湿度だけでなく室温にも目を向けてみてください。
同じ湿度でも、気温が高い場合と低い場合では感じ方が異なります。
まずは湿度計を確認し、自分が過ごしやすい環境を探してみるとよいでしょう。
2. 朝はできる範囲で外の光を取り入れる
雨の日は暗く感じられることがありますが、日中の屋外は室内より明るい場合もあります。
朝になったらカーテンを開け、窓際で過ごすなど、自然な光を取り入れてみましょう。
生活リズムを整えるためには、毎日の起床時刻を大きくずらさないことも大切です。
ただし、光を浴びるだけで気分の落ち込みが改善するとは限りません。
また、季節性情動障害などに用いられる専門的な光療法と、日常生活で窓際に座ることは同じではありません。
まずは無理のない範囲で、朝の過ごし方を少し整えることを意識してみてください。
3. 軽く体を動かしてみる
雨の日は外出する機会が減り、座ったまま過ごす時間が長くなることがあります。
体調に問題がなければ、室内で軽くストレッチをしたり、少し歩いたりするのも一つの方法です。
例えば、椅子に座ったまま肩をゆっくり動かす、立ち上がって数分歩くといった程度でも構いません。
大切なのは、運動量を増やすことよりも、長時間同じ姿勢で過ごさないようにすることです。
ただし、めまいや強い頭痛、息苦しさなどがある場合は無理をしないでください。
体調が悪いときに、運動を頑張る必要はありません。
4. 睡眠と食事のリズムを大きく崩さない
雨の日は眠気が強く、いつもより長く寝てしまうことがあるかもしれません。
休息が必要なときは無理をする必要はありませんが、昼夜逆転するほど生活リズムが乱れると、翌日以降の睡眠にも影響することがあります。
起床時刻や食事の時間をできるだけ一定にすることは、生活リズムを整えるための基本的な工夫です。
食事についても同じです。
トリプトファンを含むバナナ、大豆製品、乳製品、ナッツ類などが紹介されることがありますが、特定の食品を食べれば脳内のセロトニンが増えて雨の日の落ち込みが改善する、と単純には考えないほうがよいでしょう。
特定の食品に頼るより、無理のない範囲でさまざまな食品を取り入れ、規則的に食事をとることを意識してみてください。
5. 調子が悪い日は予定を調整する
私が特に大切だと感じているのは、雨の日も晴れの日と同じように頑張ろうとしすぎないことです。
体が重い日に、普段と同じ活動量を維持しようとすると、余計に疲れてしまうこともあります。
例えば、家事をすべて終わらせようとせず、優先順位の高いものから取り組む方法があります。
仕事や生活の事情で予定を変えられない場合でも、休憩を少し増やす、負担の少ない作業から始めるといった調整はできるかもしれません。
「今日は何を頑張るか」だけでなく、「今日は何を減らせるか」も考えてみる。
これも、雨の日を少し快適に過ごすための大切な視点だと思います。
雨の日の不調は「2〜4週間の記録」で整理してみる

ここからは、調べてきた内容を踏まえた筆者としての考察です。
私が雨の日のだるさとうつの違いを考えるうえで役立つと思うのは、「今日つらいか」だけではなく、天候と体調の動きをセットで見ることです。
雨の日に調子が悪かった記憶は残りやすいものです。
そのため、実際には晴れの日にも不調があったのか、それとも雨の日にはっきり悪化しているのか、自分の記憶だけでは整理しにくいことがあります。
そこで2〜4週間ほど、次の5項目を簡単に記録してみる方法があります。
- 天気
- 気分
- 体のだるさ
- 睡眠
- 食欲
細かな日記を書く必要はありません。
「晴れ・気分3・だるさ2」のように、自分で決めた同じ尺度で記録するだけでも変化を振り返りやすくなります。
記録するときは「晴れの日」も忘れずに
ここで一つ、意識してほしいことがあります。
それは、雨の日だけでなく、晴れの日も記録することです。
例えば、雨の日にだるさが強くなり、晴れると軽くなるという傾向が見えるかもしれません。
反対に、「天気にかかわらず気分が低い」「最近ずっと眠れない」「好きなことを楽しめていない」といった変化に気づくこともあるでしょう。
雨の日だけを記録すると、どうしても雨と不調の関係ばかりに目が向いてしまいます。
晴れの日の状態も残しておくことで、天候との関係をより落ち着いて振り返りやすくなります。
5項目をどう記録すればいい?
例えば、気分とだるさをそれぞれ5段階で評価する方法があります。
項目 記録例
天気 雨
気分 2/5(かなり沈んでいる)
だるさ 4/5(強いだるさ)
睡眠 6時間・途中で目が覚めた
食欲 いつもより少ない
気分は数字が大きいほどよい状態、だるさは数字が大きいほど強い状態というように、自分でルールを決めておきましょう。
数字の付け方に医学的な意味があるわけではありません。
同じ基準で記録し続けることが大切です。
スマートフォンのメモでも、手帳でも構いません。
毎日数十秒ほどで書ける方法なら、負担を感じにくいでしょう。
余裕があれば「活動量」も記録する
基本の5項目に加えて、余裕があれば活動量も記録してみるとよいでしょう。
雨の日は外出が減り、室内で長時間過ごすことがあります。
すると、天候そのものの影響なのか、活動量が減ったことによる変化なのか、区別しにくくなる場合があります。
例えば、同じ雨の日でも、軽く体を動かした日と一日中座っていた日で、だるさの感じ方が違うかもしれません。
もちろん、これは活動すれば必ず元気になるという意味ではありません。
自分の体調に影響していそうな条件を、一つずつ整理するための補助的な情報です。
睡眠不足や強いストレスがあった日も、簡単に書き添えておくと振り返りやすくなります。
記録は自己診断ではなく、相談のための材料
この記録でうつ病を自己診断することはできません。
また、2〜4週間の記録だけで天候が不調の原因だと証明できるわけでもありません。
必要になったときに「いつから」「どのくらい」「どんな状態が続いているか」を専門家へ伝える材料として役立つ、という位置づけです。
例えば、医療機関で「最近だるいです」と伝えるより、「この3週間、雨の日にだるさが強く、晴れの日も眠れない状態が続いています」と説明できれば、状態を共有しやすくなります。
ただし、強い症状がある場合は記録がたまるまで待たず、早めに相談してください。
雨の日の不調を記録するときに気をつけたいこと
記録は、あくまで自分の状態を知るためのものです。
毎日の点数が気になりすぎたり、数字が悪いことを自分の責任だと感じたりする必要はありません。
また、雨の日に体調が悪かったとしても、その日の天候が直接の原因とは限りません。
睡眠、食事、ストレス、仕事の忙しさなど、さまざまな条件が重なっている可能性があります。
私は、記録を「原因を決めつける道具」ではなく、「自分の傾向を知るための手がかり」として使うのがよいと考えています。
考察|雨の日の憂鬱さは「天候」と「生活の変化」を分けて考える
雨の日のだるさや気分の落ち込みについて調べていると、気圧、自律神経、日照、セロトニンなど、さまざまな言葉が出てきます。
どれも関係する可能性はありますが、ひとつの仕組みですべてを説明できるほど単純ではありません。
私が特に気になったのは、天候そのものの変化と、天候によって変わる生活行動を分けて考える必要があるという点です。
例えば、雨の日には外出が減り、日光を浴びる機会が少なくなり、体を動かす時間も短くなるかもしれません。
そのうえ、室内の湿度が高く、前日の睡眠も十分でなかったとしたら、体調に影響する条件がいくつも重なっています。
このような場合、「低気圧だから気分が落ち込んだ」と一つの原因にまとめてしまうと、実際に変えられる部分を見落とす可能性があります。
反対に、すべてを生活習慣の問題として考えるのも適切ではありません。
気象の変化に伴う体調不良については研究が進められており、本人の努力だけでは調整しにくい要因も考えられるからです。
そこで私は、雨の日の不調を次の二つに分けて整理すると、少し考えやすくなると思っています。
- 自分では変えにくいこと:天気、気圧、屋外の湿度、日照条件
- 自分で調整できる可能性があること:室内環境、休息の取り方、活動量、睡眠や食事のリズム
天候を変えることはできませんが、過ごし方を少し調整する余地はあります。
そして、工夫してもつらさが続く場合には、医療機関などに相談するという選択肢があります。
もう一つ重要なのは、「雨の日の不調」と「うつ病」を完全に別々のものとして考えないことです。
雨の日に体調が悪くなる人が、うつ病にならないわけではありません。
また、うつ病の人が天候による体調変化を感じないわけでもありません。
両方が重なる可能性を考えると、天候との関係だけでなく、普段の自分からどのように変わったかを見ることが重要だと感じます。
今後、気圧や日照と心身の状態に関する研究が進めば、天候に伴う不調の仕組みについて、さらに詳しく分かってくるかもしれません。
ただし、現時点では、個人の症状を天候だけで説明することには限界があります。
だからこそ、研究結果を参考にしながらも、自分自身の体調の変化を丁寧に観察する姿勢が役立つのではないでしょうか。
できることを全部こなす必要はありません。
疲労改善研究所としておすすめしたい考え方は、「まず一つだけ試して、同時に自分の状態を観察する」ことです。
今日は窓際で少し過ごしてみる、部屋の湿度を確認してみる、いつもより少し早く休んでみる。
それくらいの小さな一歩でも十分です。
健康のために何かを頑張ることよりも、今日を少し楽に、少し快適に過ごせる方法を見つけること。
私は、その積み重ねを大切にしたいと思っています。
まとめ|雨の日のだるさとうつは「期間+生活の変化」で考えよう

雨の日のだるさや気分の落ち込みには、気圧、湿度、日照などの環境変化が関係している可能性があります。
そのため、雨の日に気分が沈むだけで、すぐにうつ病と考える必要はありません。
一方で、「晴れれば戻るか」だけを判断基準にするのも適切ではありません。
天候に関係なく落ち込みが続いていないか、好きなことを楽しめるか、睡眠や食欲が変わっていないか、生活への影響が大きくなっていないかを合わせて見ることが大切です。
特に、こうした状態が2週間以上続いている場合はひとつの相談目安になります。
ただし、つらさや生活への影響が大きければ、2週間を待つ必要はありません。
雨の日の不調が気になる場合は、室内の温度や湿度を整える、朝の光を取り入れる、無理のない範囲で体を動かすなど、生活の中でできることから試してみましょう。
「雨だから仕方ない」「もしかして病気かも」と二択で決めるより、まず自分の変化を丁寧に見てみることが大切です。
迷ったときは、天気・気分・だるさ・睡眠・食欲を2〜4週間記録するところから始めてみてください。
ただし、記録を続けることが負担になる場合や、症状が強い場合には無理をせず、専門家に相談しましょう。
雨の日は、いつもより少しゆっくり過ごす日があってもよいのかもしれません。
自分の体調に合わせて、できることを一つずつ見つけていきたいですね。
よくある質問
雨の日だけ気分が落ち込むのは、うつ病ですか?
雨の日に調子が落ちるだけで、うつ病とは判断できません。
気圧や日照など天候に伴う変化が関係している可能性もあります。
重要なのは、天気だけではなく、落ち込みが続く期間、興味や楽しみの低下、睡眠・食欲の変化、日常生活への影響などを合わせて見ることです。
晴れた日に気分がよくなる場合でも、それだけでうつ病の可能性を否定することはできません。
2週間たたなければ病院へ相談しなくても大丈夫ですか?
「2週間」は状態を考える一つの目安であり、相談を我慢する期間ではありません。
症状が強い、生活への影響が大きい、本人がつらいと感じている場合には、期間にこだわらず医療機関や相談窓口を利用することを考えてください。
また、強いだるさや眠気が続く場合には、心の問題だけでなく、体の病気が関係している可能性もあります。
相談先に迷う場合は、かかりつけ医や内科で相談することもできます。
雨の日のだるさとうつの違いを確認するには何を記録すればいいですか?
天気、気分、だるさ、睡眠、食欲の5項目を、晴れの日も含めて2〜4週間ほど同じ方法で記録すると変化を振り返りやすくなります。
余裕があれば、活動量やストレスの強さも書き添えてみてください。
これは自己診断の方法ではありませんが、天候との連動や症状の続き方を整理し、必要なときに専門家へ状態を説明する材料になります。
ただし、症状が強い場合には、記録が完成するまで相談を待つ必要はありません。
参考
- 雨の日の憂鬱、気のせいじゃなかった?湿気とうつの科学と、今日からできる対策
- 名古屋大学環境医学研究所 佐藤純教授らの研究(KAKENHI-PROJECT-15K08206)
- 日本人の季節による気分および行動の変化に関する研究
- Australia Wide First Aid “Mango Madness – When Mental Health Declines in the Tropics”
- Mizoguchi H, et al. “Lowering barometric pressure aggravates depression-like behavior in rats.”
- 気圧とメンタル — 雨の日に気分が落ちる理由
※参考資料のURLは元記事に記載されていないため、未確認のリンクは掲載していません。
